2022年に公開されて大ヒット記録した「すずめの戸締まり」ですが、劇中に登場したダイジンというキャラクターについては、謎が残っています。
この記事ではダイジンが、かわいそうと言われている理由や、ダイジンという存在について考察をまとめているので、ぜひご覧ください。
【すずめの戸締り】ダイジンがかわいそう?3つの理由
映画を観た観客から、ダイジンがかわいそうと言われる理由についてまとめました。
残酷な運命を辿っていくダイジンについて、様々な感想が飛び交っているので、参考にしてみてください。
①”すずめの子”になれなくてかわいそう
ダイジンはもともと猫ではなく、日本列島の地下で動いているミミズを抑えるために存在している要石(かなめいし)でした。
ところが、鈴芽によって要石が抜かれてしまい、猫に化けて地上に現れたという流れです。
事の重大さをまだ理解できていなかった鈴芽から、「うちの子になる?」と言われて、ダイジンは、「鈴芽、やさしい、好き」と好意を示します。
しかし、閉じ師である草太には敵意を示して椅子に変えてしまいました。
後の展開で、ダイジンは要石を続けることにプレッシャーを感じていることが、描かれています。
鈴芽の一言で、要石から解放されると思ったものの、最終的には自分が犠牲になり要石に戻るという決断をしました。
鈴芽の視点だと、振り回しているのはダイジンの方に感じます。
しかしダイジンからすると、勝手に引き抜かれて、勝手に拒絶された上に、要石に戻れと言われるので、理不尽に感じても仕方ないかもしれません。
②すずめから拒絶されたシーンがかわいそう
ダイジンは、草太を要石に変えたことで、鈴芽から「大嫌い」、「もう近づいてこないで」と強い言葉を投げかけられます。
鈴芽によって引き抜かれて、「うちに来る?」と言われたにも関わらず、ここまで強い言葉で拒絶されたのは、かなりショックだったのではないでしょうか。
見るからにやせ細っていくダイジンが、見ていて辛いものがあります。
③すずめのダイジンに対する感謝が何もなくてかわいそう
ダイジンは草太を想う鈴芽の姿を見て、自分が犠牲になるしかないと察して要石に戻ることを決心します。
ダイジンのおかげでミミズの動きが収まり、地震を止めて草太を救うことができましたが、鈴芽からダイジンに対してさほど感謝している様子が見えません。
事の発端は、鈴芽が要石を抜いてしまったことでしたが、ダイジンに対して申し訳ないと思っているわけでもなさそうです。
ダイジンの顛末が鈴芽の都合で左右されているように見えてしまうので、鑑賞した人がかわいそうに感じるのだと思います。
④ダイジン・サダイジンの犠牲が忘れられたエンディング?
一件落着のハッピーエンドに見える結末ですが、ダイジンとサダイジンに対してさほど言及がないため、モヤモヤさせられてしまいます。
要石に戻ってから、ダイジンの存在がなかったことにされているのでは?と思ってしまうくらいです。
本作の結末に対して、鈴芽が何の悪気もないのか、要石に戻るとダイジンに対する記憶がなくなるといったオカルト的なルールがあるのかも判別していません。
ダイジンという存在は物語の中で大きな役割を担っているにしては謎が多すぎる上に、登場人物から蔑ろにされているので、余計モヤモヤしてしまいます。
【すずめの戸締り】ダイジンは何がしたかった?目的を解説
謎の存在として物語を引っ張っていくダイジンが、何をしたかったのかは少し疑問が残るところです。
ひとつひとつ検証して解説していくので、こちらを参考にしてみてください。
自分を抜いてくれたすずめと一緒にいたかった
ダイジンは、要石としてずっとミミズを抑える役割を担わされていたので、引き抜いてくれた鈴芽に感謝していたのだと思います。
鈴芽としては、軽い気持ちで発した「うちにくる?」という言葉が、ダイジンに火をつけてしまい、一緒にいたい気持ちが強くなってしまったということではないでしょうか。
ただ、一緒にいたい気持ちがあるにしては、放浪し過ぎなので、正確に言うと鈴芽と遊びたかったというところでしょうか。
基本的にはダイジンから鈴芽への一方通行で、そんな気持ちが鈴芽にはまるで伝わっていなかったというのが、切ないところです。
すずめと一緒にいるために草太や環を排除したかった
自分を引き抜いてくれた鈴芽と一緒にいたいとなると、閉じ師である草太や保護者である環は、ダイジンにとって都合の悪い存在となります。
それもあってかダイジンは、草太を椅子にしたり要石に変えたりして、鈴芽と引き離そうとしていました。
環に対しては、鈴芽を旅に連れ出していくことで、物理的に距離をとろうとしていたのかもしれません。
目的に対して、方法が回り道過ぎる気がしなくもないですが、なんとなくダイジンの行動原理が見えてきますね。
ミミズが出てきそうな場所にすずめと草太を案内していた
物語の中盤でダイジンが、要石という役割に対してうんざりしていることも示されていました。
要石という役割を、誰かに代わってもらいたく、みみずが出てきそうな場所に鈴芽と草太を案内していたのかもしれません。
ダイジンはSNSを駆使して鈴芽と草太を翻弄しており、自分が要石から解放された状況を楽しんでいるようにも見えました。
結局最後は自分が犠牲になる道を選ぶことになりましたが、ダイジンが抱える宿命の苦しみが描かれている作品でもありました。
すずめを過去から解放してあげたかった
ダイジンは、結果的に鈴芽の生まれ故郷である気仙沼へと導きました。
鈴芽は東日本大震災により母親を亡くしており、深いトラウマを抱えています。
ダイジンが鈴芽のためにそこまでする義理はあるのかという疑問は残りますが、過去の苦しみから解放させてあげたかったのかもしれません。
ダイジンが本当のところ何をしたかったのかは、謎が残りますが、自分を引き抜いてくれた鈴芽のためを思っていたということは、確かなのではないでしょうか。
【すずめの戸締り】ダイジンの正体とサダイジンとの関係
謎に包まれているダイジンの正体と終盤に突如登場したサダイジンとの関係について、まとめてみました。
「すずめの戸締まり」の中で、最も難解な部分のため、ひとつひとつ解体していきます。
ダイジンの正体は”要石”(かなめいし)
ダイジンはもともと猫ではなく、日本列島の地下で動いているミミズを抑えるために存在している西の要石でした。
ミミズが地上に現れてしまうと大きな地震が起きてしまい、日本の西と東に要石が存在しています。
閉じ師として活動している草太を手助けしようとした鈴芽によって要石が抜かれたときに、なぜか猫に化けてしまったという流れです。
要石の役割を担うことはかなりの負担を伴うのか、草太に役割を押し付けようとしたり、「自分にはできない」と弱音をこぼすこともありました。
ダイジンの正体はもともと人間だった?
劇中のダイジンは猫の姿をしていますが、「もともとは人間だったのではないか?」とも言われています。
ダイジンの過去については具体的な描写はありませんが、人間の言葉を話すことや、小説版で「人間のような意志を感じる」という描写もあるため、人間であった可能性は捨てきれません。
新海誠監督の作品は、「君の名は。」の巫女や「天気の子」の人柱など、人間が犠牲になって世界を救うといった内容の神話の要素が頻出します。
ダイジンもかつては人間だったものの、要石になることで人間から姿を変えて神話的な存在になったとも考えられます。
草太の家にある閉じ師についての古文書には、かつて震災孤児になった子どもが閉じ師になることを申し出て、『白き右大臣』と言われる要石になったという記述もありました。
ダイジンとサダイジンの関係性
物語の終盤に唐突に登場したサダイジンも、謎が残るキャラクターです。
サダイジンは、ダイジンと同じく要石の役割を担っており、皇居の奥深くに刺さっていた東日本を守る要石でした。
黒猫で大柄な体格や環に憑依したこともあり要石としての経験が長く、ダイジンよりも能力は高いことが考えられます。
100年前に関東で起こった大震災にてミミズを鎮めた経験もあるといい、草太の祖父である羊郎と会話を交わしていたことから、2人は知り合いだったのかもしれません。
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【すずめの戸締り】ダイジンがかわいそう?まとめ
- ダイジンの正体は、ミミズから地震を守る要石
- 人間の言葉を話したり、人間だった可能性がある
- 鈴芽からの扱いが悪く、犠牲になることから可哀そうに思われている
「すずめの戸締まり」に登場する、ダイジンというキャラクターについてまとめました。
謎が多いキャラクターですが、作中でかなり重要な役割を担っており、新海作品らしい神話的なキャラクターでした。
主人公の鈴芽からの扱いが原因で、鑑賞した人たちからダイジンがかわいそうに思われていることがわかりました。
この記事をもとにダイジンのことを改めて考えてみると見え方が変わってくるかもしれないので、記事をご覧いただいたあとに映画の鑑賞をおすすめします!
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