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【すずめの戸締り】地震の場所と順番の解説:批判が起こった理由と東日本大震災の描写について

【すずめの戸締り】地震の場所と順番の解説:批判が起こった理由と東日本大震災の描写について

国民的アニメーション映画監督の新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」は、興行収入145億円超えの大ヒットを記録しましたが、東日本大震災を想起させる展開が物議を醸しました。

「君の名は。」以降、災害をテーマに作品を手掛けたきた新海誠監督の、震災を風化させないという意志を感じる作品なため、こちらの記事では地震の描写について解説していきます。

被災の経験がある方は、作品を鑑賞することでお辛い経験がフラッシュバックする可能性があるため、鑑賞の意向がある場合は、体調を整えての鑑賞をおすすめします。

この記事には映画のネタバレを含む可能性があります。未鑑賞の方はご注意ください。

目次

【すずめの戸締り】地震の場所と順番の解説

「すずめの戸締り」の作中では5つの場所で地震が起こります。

ここからは「すずめの戸締り」の5つの地震について場所とあらすじの順番に沿ってご紹介します。

※↑リンクをクリックで知りたい項目へ移動します。

①宮崎県・日南市

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

物語の中でまず最初に地震が起きる土地は、主人公・鈴芽が住む宮崎県・日南市です。

主人公の鈴芽が、学校への登校中に偶然出会った草太の後を追った場所には、廃墟の扉がありました。

異様な空間に驚いた鈴芽がそばにあった石を引き抜くと、石は形を変えてどこかに飛んでいってしまいました。

鈴芽は学校に戻ると、ミミズのような巨大な生物が暴れ始れており、草太のことを思い出して、引き返すのでした。

廃墟に着くと、扉を必死に閉めようとする草太を見て、鈴芽も手伝います。

鈴芽の方へ落ちてきた瓦礫を庇ったために、草太が怪我を負いますが、なんとか扉を閉じることができました。

鈴芽が、事情を聞くと、要石で抑えている日本列島の下で暴れるミミズを退治するために、全国各地にある後ろ戸を閉じている「閉じ師」とのことでした。

そして、鈴芽が抜いた石は、ミミズによる災いを鎮めるとされている要石なのでした。

すると、要石が急にネコに化けた姿で現れて、草太を椅子に変えてしまいます。

なんとか後ろ戸を閉じることができた2人でしたが、要石を見つけるためにこれから日本列島を横断する旅に出ることになります。

②愛媛県・大洲市(おおずし)

要石が化けた謎のネコの”ダイジン”を追っていると、辿り着いた愛媛県の大洲市でも、ミミズが現れて地震が起こります。

ヒッチハイクをして出会った千果の協力を得て、ミミズが出現した方へ向かうと中学校のグラウンドに辿り着きました。

後ろ戸を発見した2人は、ミミズの勢いに押されながらもなんとか後ろ戸を閉じることに成功します。

そして、明石海峡大橋でダイジンを見かけた2人は神戸へ向かうのでした。

③兵庫県・神戸市

神戸で出会ったスナックのママの仕事を手伝っていると、突然ダイジンが現れます。

ダイジンを追っていくと、廃墟になった遊園地に辿り着き、またしてもミミズが出現しました。

観覧車にある後ろ戸のもとへ向かうと、鈴芽は扉の向こう側に幼いころの心象風景を見て意識がおぼろげになります。

草太の声かけによって、気を取り戻した鈴芽は無事に後ろ戸を閉じることができました。

しかし、鈴芽は草太から後ろ戸の向こう側に、「死者の世界」が広がっていると聞かされ、表情を固くするのでした。

④東京都・御茶ノ水駅付近

SNSでダイジンが話題になっていることを知った2人は、新幹線に乗って東京に向かいます。

東京にある草太のアパートでミミズに関する文献を読んでいると、要石が日本の西と東にあり、関東大震災によってふたつとも抜けたことがあり、もうひとつの要石は東京にあるとわかりました。

東京都の御茶ノ水駅付近に現れたミミズは、ダイジンとともに地下道から空高く舞い上がっていきます。

草太はミミズとダイジンを追いかけ、要石に戻るよう説得しますが、ダイジンは「自分にはできない」と拒むのでした。

草太は、ダイジンに触れたときに自分が要石の役割が引き継がれたことを悟り、結晶になってしまいました。

鈴芽はダイジンに草太を元に戻すよう詰め寄りますが、要石をミミズに突き刺さないと地震が起きて多くの犠牲者が出ると言われ、泣く泣く草太をミミズに突き刺し、退治に成功するのでした。

そして地下道に降りた鈴芽は、幼い頃の母との記憶を思い出しながら後ろ戸を閉じて、草太を助けると誓いました。

⑤宮城県・気仙沼市

鈴芽は、草太の祖父である羊郎に、亡くなったものに会える後ろ戸がひとつだけあると教えてもらいます。

そして、扉の向こう側の風景に見覚えがあったため、鈴芽の故郷である宮城県・気仙沼市に向かうのでした。

やがて、実家の跡地に到着し地面を掘ると、「すずめのだいじ」と記された絵日記帳を見つけました。

これまでの日々が彩られていた絵日記帳でしたが、3月11日以降は黒く塗り潰されています。

旅の過程から、ダイジンが後ろ戸がある場所に導いてくれていたと確信した鈴芽は、絵日記の情報をもとに後ろ戸を探しに行きます。

やがて要石になっている草太を見つけた鈴芽は、自分が要石になると言って草太を引き抜こうとします。

鈴芽とダイジンよって草太は引き抜かれて元の姿に戻り、ダイジンは要石に戻ってしまいました。

そして草太が祝詞を唱えてミミズに要石を突き刺すと、燃え盛り荒れ果てていた高原に、いつの間にか緑が戻っていました。

>地震と関係がある?猫のダイジンとは?

【すずめの戸締り】地震が起こった場所で実際に地震が起きている?

2024年8月8日に宮崎県で起きた地震が、「すずめの戸締まり」とほぼ同じ震源地ということで、話題になりました。

「すずめの戸締まり」で描いた地震が、現実世界で起きた地震とリンクしてしまい、実際に起こる自信を予言していたのではないかと噂されています。

映画監督が地震を予言することはあまり現実的ではないので、南海トラフ地震の震源想定地に基づいて映画を制作していったら、偶然同じ場所で地震が起こったのだと思います。

地震に対する備えはいつ何時も必要ですが、過度に怯えて過ごすのも精神的に心配です。

偶然の一致と捉えつつ、災害に備えることは大事ですね!

【すずめの戸締り】地震・震災を描くことに批判が起こった理由は?

作中で地震を描いた「すずめの戸締り」ですが、実際に批判が起こったことは事実です。

ここからは震災を描くことで起こった批判の理由や内容について解説していきます。

※↑リンクをクリックで知りたい項目へ移動できます。

①劇中に”緊急地震速報”の音が流れる

震災を扱った映画であるため仕方ないですが、劇中で緊急地震速報を思わせる音が流れることに批判が起こりました。

厳密には、実際に音源とは異なるものを使用していますが、映画館で観ていると自分のスマホから流れているものなのか、判別はつきづらいのでドキッとしてしまうでしょう。

新海誠監督の映画は現実の世界を尋常じゃないディテールで再現する世界観なので、地震が起きた際にアラート音を流さないわけにはいかなかったのだと思います。

批判を覚悟の上での選択だったのかもしれません。

②現実とSFをリンクさせていて不謹慎

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

「すずめの戸締まり」が批判されたポイントとして、現実に起きた東日本大震災とファンタジー的な展開を掛け合わせてエンタメとして消費しているのではないかというものがありました。

震災からもう10年、まだ10年と感覚は人それぞれですが、震災を物語にして多くの観客に観てもらうという行為は、不謹慎と捉える人がいるのも、仕方ないと思います。

震災を全く映画の題材にしないとなると風化するでしょうし、とは言いつつ誰かのトラウマを刺激する可能性はあるので、難しい問題だなと思います。

③震災のトラウマが蘇りしんどい

東日本大震災に限らず、日本では多くの震災が起こりました。

あらゆる経験を抱えた方にとっては、震災のトラウマが蘇り鑑賞が苦しくなることは免れないと思います。

心の安定があってこそ、映画を楽しむことができると思います。

もし、過去に被災した経験がある方で興味を持った方は、ご体調を整えて鑑賞をすることをおすすめしたいです。

公式でも注意喚起をしていたので、話題作だからといって無理に観る必要はありません。

【すずめの戸締り】映画内の地震は東日本大震災を描いている?

「すずめの戸締まり」は、かなり明確に東日本大震災を想起する内容になっていると、大きな話題になりました。

劇中の舞台や、実際に地震が起きていることから、東日本大震災がモチーフになっていることは明らかです。

公開直後のインタビューで、新海誠監督が「公開されることが怖くもあった」と語ってもいます。

作り手としても、センセーショナルな題材にかなりの覚悟を要したのだと思います。

【すずめの戸締り】映画の中の東日本大震災の描写について

「すずめの戸締まり」の劇中で描かれた、東日本大震災を思わせる描写を解説していきます。

直接的な描写は少ないですが、鈴芽の過去を随所にほのめかしています。

主人公・すずめは震災により母親を亡くしている

主人公の鈴芽は、母を亡くして叔母に引き取られていることが冒頭から明らかにされていますが、鈴芽の母親は恐らく震災によって亡くなったと推測できます。

鈴芽の幼い頃を思わせる心象風景のような映像は、当時起きた震災を想起させます。

お母さんを必死に探している様子、周囲のざわついた異様な空気や、鈴芽の出身地が気仙沼市であることから、ほぼ間違いないと思います。

三本足の椅子は母親の形見

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

すずめの家にある黄色い椅子は、幼い頃に母親がDIYしてくれたことが、回想シーンで示されました。

母親との結びつきを感じられる貴重なモチーフでありますが、脚が一本なくなっています。

幼い頃から持っている椅子も、鈴芽たちと同じように被災したということでしょう。

直接的には描かれていませんが、震災のときに足をなくしてしまったのかもしれません。

かわいいフォルムでありながらどこか儚さを感じてしまう、「すずめの戸締まり」を象徴するモチーフだと思います。

トラウマにより日記を黒く塗りつぶす

東日本大震災を特に強く想起する描写は、鈴芽が過去に書いていた絵日記を開くシーンです。

楽しい日々が描かれている絵日記をめくっていると、3月11日以降は黒く塗りつぶされています

言うまでもなく、3月11日は東日本大震災が発生した日です。

東日本大震災を明示することは賛否が分かれていますが、これまで暗に災害をモチーフにしてきた「君の名は。」以降の段階を考えると、覚悟を決めたのかもしれません。

ドライブの過程で見える風景

鈴芽が、東京から気仙沼へ向かう過程で見える風景も、震災の残り香を感じる描写があります。

叔母の「あれから12年」というセリフは、東日本大震災を指していると思われ、劇中の舞台が2023年であることが、推測できます。

一瞬ですが、帰宅困難者区域が映されて、震災による影響を受けた風景も描かれていました。

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【すずめの戸締り】地震の場所と順番の解説:まとめ

  • 「すずめの戸締まり」は、東日本大震災をモチーフにしている
  • 震災の描写から批判を受けた箇所もあった
  • 直接的な地震の描写もある

「すずめの戸締まり」は、東日本大震災を題材に扱ったことから批判を受けた映画でもありました。

作品を観れば、震災をエンタメ化していくことに向き合っていると窺えますが、感覚は人それぞれなので無理に鑑賞する必要はありません。

この記事が、鑑賞を迷っている人の参考になれば、嬉しく思います。

大丈夫そうだと思った方は、ぜひ配信で「すずめの戸締まり」を鑑賞し、難しそうな方は、他にも新海誠監督の作品は素晴らしいものがあるので、監督の他作品の鑑賞をおすすめします!

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