2016年に公開された映画「シン・ゴジラ」は、ゴジラシリーズの中でも社会派ドラマの趣があり考察しがいのある作品です。
「シンゴジラ」はある意味、1作目のゴジラのようにちょっと怖い感じのゴジラ映画といえるでしょう。
シリーズ第29作目となる「シンゴジラ」の総監督を務めたのは庵野秀明。
本作のゴジラはとても長い尻尾を持っているのが大きな特徴で、この尻尾がラストシーンでは大きな謎をよびました。
この記事では、映画「シンゴジラ」の不思議な形をした尻尾について考察していきます。
シンゴジラの尻尾の先は顔になっている？目や口が見えるという意見も
映画「シンゴジラ」の最後は、巨大不明生物特設災害対策本部（以下略して巨災対）の作戦でなんとかゴジラの活動を停止させ、核兵器が使用されずに済んだというところで終わっています。
ラストシーンでは凍結されたゴジラの尻尾が映し出されますが、この尻尾がとても気持ち悪いもので公開当時から話題になりました。
ここではクローズアップされた尻尾が、顔や口に見えるのはなぜかについて考察していきます。
ラストシーンの尻尾は第5形態へ進化する途中の状態
シンゴジラは他のゴジラと違い、第1形態→第2形態→第3形態と次々に生態変化していくのが大きな特徴です。
海ほたる付近に現れた第1形態のシンゴジラは、尻尾だけ見せるスタイルで登場！
蒲田に上陸した第2形態のゴジラは非公式に蒲田くんとあだ名が付いていますが、ヘビが這うように前進する不気味な存在でした。
蒲田くんがムクムクと起き上がり2足歩行できるようになったのが第3形態で、立ち上がったポイントが品川だったためファンの間では品川くんとよばれます。
品川くんが一旦海に引き上げ再度上陸したのが鎌倉で、このとき既に第4形態（通称鎌倉さん）へと進化していました。
巨災対は終盤のヤシオリ作戦で第4形態の鎌倉さんを凍結させますが、尻尾には第5形態への進化過程の兆候がみられます。
尻尾にも顔があるのかもしれない
ラストシーンの尻尾が顔のように見えるという噂もありますが、ほんの一瞬のことなのでそれが顔であるとはっきり確認できません。
しかし2017年「ワンダーフェスティバル2017」でゴジラ第5形態のひな型が一般公開され、そのひな型の尻尾に顔があったと明らかになります。
また公式記録集「ジ・アート・オブ シン・ゴジラ」にもラストシーンの尻尾のひな型の写真が掲載されているので、こちらでも顔の形状を確認できるでしょう。
庵野総監督から顔をつけようとの発案があったようなので、もしかするとゴジラの尻尾には頭脳のようなものが存在するかもしれないですね！
顔の印象は「大きな人間の顔が見える」や「仮面ライダーの顔に似ている」や「ゴジラの顔だった」など見る人によってそれぞれ違うようです。
尻尾からビームを放つなら口があっても不思議ではない
第4形態の鎌倉さんは、東京で突如尻尾からビームを放ち人々を驚かせました。
まさかの展開ですが、ビームが出るならそこに口があってもおかしくはありません。
ちなみに公式記録集には、尻尾の最先端を正面から捉えたひな型の画像があります。
この画像を見ると尻尾の先端部分に口があり、顎や歯まで見えていますね。
キャラクターデザイン担当の竹谷隆之によって作られたこのひな型は、どの角度から見ても新しい発見がありとても面白い造形です。
尻尾の中に目玉がある説も浮上
シンゴジラファンの中には、展示してあるひな型の尻尾の中に目玉を見つけた人もいるようです。
尻尾の中に目玉まであるとすれば、やはり尻尾のほうがブレーンなのでは？とも考えられますね。
また尻尾に絡まっているヒト型の眉間の位置には窪みのようなものが1つあり、それが目のように見えると指摘している人もいます。
シンゴジラのラストシーンの謎！尻尾に人間がいるのはなぜ
シンゴジラのラストは最後の最後で後味悪くなる感じです。
凍結された尻尾の先のほうには人らしき姿も見え、そのショッキングなビジュアルが話題になりました。
ここからは尻尾の中に見えるヒト型について考察していきます。
尻尾の中に見える人型の生き物の正体は
結論：ラストの尻尾の中のヒト型はゴジラ第5形態です！
凍結した尻尾の中で、何人もの人が苦しんでいるような地獄絵図は後味が悪く「あれはなんなの？」という疑問を抱かずにはいられません。
パッと見はなにかの骨のようですが、よくよく観察すれば人みたいなのがたくさんいるではありませんか！
先述したとおり、この背びれが着いた異形のヒト型がゴジラ第5形態であると公式に発表されています。
そう考えると巨災対のヤシオリ作戦があと少しでも遅ければ、ゴジラが小さなヒト型ゴジラに進化し、あちこちに散らばっていく危険性があったということになりますね。
第5形態では分裂し人間に羽の生えたような姿になる説
ゴジラが第5形態でヒト型になることは、劇中の巨災対の会話シーンでも示唆されています。
巨災対のメンバーの人たちはゴジラが無生殖によって固体化し無制限に増えていくことや、その個体に羽が生え世界へ飛んでいくことを恐れていました。
ラストシーンやひな型から確認される第5形態のヒト型には、ゴジラとよく似た背ビレのようなものがついています。
両側に羽や翼のような背ビレがあることから、これをバタバタさせながら世界中へ羽ばたいていくのでは？と想像できますね。
巨神兵じゃないかという意見も
このヒト型の第5形態が映画「風の谷のナウシカ」に出てくる巨神兵に似ていることから「コレが大きくなって巨神兵になるんじゃない？」と考える人もいるようです。
映画「風の谷のナウシカ」の巨神兵のシーンの原画を担当したのは庵野秀明。
庵野秀明はナウシカのスピンオフ作品の「巨神兵東京に現わる」の製作や脚本も手掛けていることから、なにか繋がりがあるのでは？と一部のファンから期待されています。
シンゴジラの尻尾は牧教授のせい？「私は好きにした」をめぐる考察
劇中、牧教授という人物は写真が一瞬映るだけで、1度も姿を見せませんでした。
この章ではゴジラの存在を数年前から知っていた牧悟郎教授と、ラストの尻尾の関係について考察していきましょう！
ゴジラが牧教授を食べた可能性はあるか
牧教授こと牧悟郎は冒頭のシーンでボートから身投げしたと思われますが、遺体などは見つかっておらず謎の多い人物です。
ボート内にきちんと揃えて置いてある靴、書き置きの手紙、鶴の折り紙、宮沢賢治の「春と修羅」を見るからに、牧教授は衝動的にではなく計画的に海に身を投げたのでしょう。
一方尻尾の中に複数のヒト型が見えるのはゴジラが人間の遺伝情報を取り込んだからで、その人間というのは姿を消したばかりの牧博士ではないか？と考えられますね。
確かに海に飛び込んだ牧教授が、自身をゴジラに食わせることで人間の遺伝情報を与えた可能性はあります。
ただし劇中の「食べてないんだ」のシーンからわかるように、ゴジラが核廃棄物を食べずに核を体内に取り込んだ例があるので、捕食という手段で牧教授を取り込んだかどうかはわかりません。
牧教授の「私は好きにした」の書き置きの意味を考察
牧悟郎がボートの中に遺した「私は好きにした、君らも好きにしろ」という書き置きには、どんな気持ちが込められているでしょうか？
まず「私は好きにした」は、牧がゴジラを利用し日本へのリベンジを企てたのだと考えられます。
具体的な方法はわかりませんが、教授がゴジラが現れる直前にボートから身投げしていたことを考えると、ゴジラの幼体のようなものを日本付近の海に放った可能性もゼロではないはず。
牧教授は米国エネルギー省（DOE）の委託で放射性廃棄物を捕食する生物の分析をしていたことから、辞めるときに幼体を持ち出すことは可能です。
「君らも好きにしろ」というのは残された人類に、災難から乗り越える機会を与えたということでしょう。
ゴジラを捕獲するか、賢いやり方で駆除するか、核攻撃で殺すのか決めるのは君たちだという意味合いが含まれているのだと考えられます。
日本を恨んでいた牧教授ですが、ボートの中にゴジラの構造解析図解読の手引きとなる折り鶴を残していました。
巨災対のメンバーはこのメッセージに気づき、何とかセーフ。
平和の象徴である折り鶴がヒントとなり核爆弾を使わずに済んだことを思うと、感嘆深いものがあります。
牧教授はゴジラに何をしたのか？
結論：DOEを去った牧教授がゴジラを解放したか、何らかの手を加えた可能性が高い
DOEで放射性廃棄物を食べる生物の調査をしていた牧悟郎は、ゴジラが現れることを数年前から予期していました。
また牧悟郎は映画「シンゴジラ」内でのゴジラの名付け親でもあります。
先述したとおり、もしかすると牧悟郎がDOEで研究していた生物を日本に持ち帰り、何らかの手を加え海に放ったのかもしれません。
なぜなら牧教授はゴジラが出没する7日前に、アメリカから帰国し成田空港に到着していたからです。
あるいはその持ち帰ったゴジラ試験体をそのまま海に放ち、身投げしたとも考えられます。
ボートから身投げした牧教授の怨念説
シンゴジラのゴジラは火炎を吐く姿が非常にもの悲しく「攻撃されてかわいそう」など同情の声も上がっています。
それはあのゴジラに、牧教授の魂や怨念が込められているからかもしれません。
最愛の妻を死に追いやった放射性物質に対して強い憎悪感を抱いていた牧教授は、放射性物質を無害化する研究をしていました。
しかし牧がDOEのデータを歯抜けにしていることからわかるように、今度は自身の研究が軍事利用されることを恐れます。
やれることはやったが放射性物質の問題は止められず、怒りと悲しみから自分自身がゴジラという脅威の存在になってしまったのではないでしょうか？
シンゴジラの犠牲者は何人？
シンゴジラの作品内で、トータルの死者数は明かされていません。
劇中のアナウンサーの報道などからわかることはけが人などを含む被害者数で、内容は以下の通りとなります。
- 第2形態の上陸時にすでに100名越えの死亡者が出た
- ゴジラからの避難中、総理の乗ったヘリがゴジラビームで追撃され、総理を含めた数名が行方不明
- 2度目のゴジラ上陸に伴う被害人口は約300万人
- ヤシオリ作戦の時に任務を遂行した自衛隊員の一部が死傷
よって死者・けが人を合わせた被害者が300万人越えということになり、他のゴジラ・シリーズと比較しても大勢の民間人被害者が出てしまったことになります。
シンゴジラのゴジラの正体は？
庵野監督の構想によると、シンゴジラは生物の最終進化形である完全生物となります。
シンゴジラが生態ピラミッドの頂点に位置するということは、劇中で遺伝子情報が人の8倍とわかった時の「これでゴジラがこの星で最も進化した生物という事実が確定しました」というセリフからも顕著です。
簡単に言ってしまえば、どんな生き物よりも強いということですね。
ゴジラの正体は牧教授という説が有力ですが、ゴジラを天災や原発のメタファーとして見ることもできます。
民間人のメロドラマ的な要素がかなり少なめで、政治家や官僚などに焦点が当てられているのも映画「シンゴジラ」の特徴といえるでしょう。
なぜシンゴジラは東京を目指したのか？
劇中の佃法務大臣の「なんでまたこっちに来るんだ」というセリフにあるように、シンゴジラがわざわざ東京を狙う理由についても疑問の声が上がっています。
これについては前述した【ボートから身投げした牧教授の怨念説】の章でわかるように、ゴジラに牧教授の怨念が宿っていたからという説が有力。
牧悟郎は日本政府に恨みを持っていることからその思いを引き継いだゴジラが、首相官邸や国会議事堂のある東京へ向かったのだろうと考えられます。
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シンゴジラの尻尾の考察：まとめ
この記事ではシンゴジラの尻尾についての謎や、尻尾と牧教授の関係について考察してみました。
- ラストシーンの尻尾の中のヒト型はゴジラ第5形態
- シンゴジラの尻尾には顔がついていて、ひな型では顎や歯も確認できる
- シンゴジラが突如現れたことは牧教授と大きく関わっている
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