「ミッドサマー」のホルガ村で行われた9日間の大饗宴は、意味わからんすぎて怖かった…。
説明を省くことでオシャレなA24らしさを保ちながら、「実はファーストカットでネタバレしてるんです」とウザめなアッパーかましてきたアリ・アスター監督。
いい加減もうちょっとだけ説明してほしい気もしますが、せっかく考察厨に売られたケンカは買っておこうと思います。
どうせ答えなどあってないようなものなのでしょうから、映画「ミッドサマー」のあれこれについて好き勝手に考察してまいりましょう!
【ミッドサマー】意味わからん?あらすじを簡単解説
スウェーデンにある、一般社会とは断絶された架空の村・ホルガ。
そこでは、殺人・薬物乱用をふくむ行為が肯定されていました。
白夜の村でおそろいの衣服をまとい、ナチュラルな生活を送る村民に興味津々の旅行者たちが、1人、また1人と消えていく…。
常識が通用しない恐怖の村は、入ったら出てこられない墓場だったのです。
【ミッドサマー】結局どういうこと?意味深なラスト・結末を解説
まずは物語の終盤、意味深かつ意味不な殺戮にいたるまでを解説します。
メイクイーンに選ばれたダニー
メイ(5月)クイーンは、スウェーデンではなくイングランドやカナダに実在する風習です。
ホルガ村はスウェーデンにあるという設定ですが、実際にスウェーデンで行われるミッドサマー(夏至祭)は6月に開催されるため、メイクイーンは誕生しません。
様々な国の伝統を織り交ぜたホルガ村の成り立ち。
お薬をキメてふらふらの状態で、女性たちは規則的なダンスをします。
回転したり方角を変えたりしているうちに、ふと輪から外れてしまったり、転んでしまうとアウト。
最後まで踊り続けられた女性が、その年のメイクイーンとなるのです。
実際の夏至祭とは選出方法が異なりますが、こうしてダニー(演/フローレンス・ピュー)はメイクイーンになりました。
ダニーが性の儀式を目撃…!
セックス解禁に燃える少女・マヤ(演/イサベル・グリル)に気に入られた、ダニーの彼氏・クリスチャン(演/ジャック・レイナー)。
恍惚も興奮も、雰囲気もへったくれもない恐怖の儀式で精子を搾り取られることになるクリスチャンを、なんとダニーはのぞき見るハメに!
性の儀式が行われる小屋にむかうダニーをうっすらとしか制止しないホルガ村の女子たちに、悪意を感じるのも恐ろしい事実。
ダニーとクリスチャンを断絶するための、こちらも一種の儀式だったのかもしれません。
生贄にクリスチャンを選んだダニー
裏切りの直後だからこそなせるワザ。
ホルガ村の女性たちと共鳴し合ったダニーは、すでに心通わなくなったクリスチャンを不均衡な天秤にかけます。
女王として祀りあげられ、図らずも“いい気持ち”ですらあるダニーは、目前で朦朧とする過去の男など眼中にありません。
というか「もういっかな。消えてくんね?」という怒り・悲しみ・あきらめ・蛙化・さようなら。
あなたがダニーなら、同じようにGOしちゃいませんこと?
【ミッドサマー】考察まとめ:結局どういうこと?意味わからんを解説
続いて、映画「ミッドサマー」の緻密すぎる美術・小ネタについて解説していきます。
知らなくても楽しめるけど、知ってても結構楽しいんだぞ!
①冒頭のタペストリーに隠された謎
冒頭、1分足らずで147分を開陳している一枚絵!
「なにが始まるのかな~」とワクワクしている観客を、開始直後に突き刺す結末ネタバレ。
とはいえ、一度見ないとさすがに意味まではわからないオシャレ・タペストリーとなっております。
左から右へと進むストーリーが描かれた、このタペストリー。
左端(サタン!)より、死神に微笑まれ、家族を道連れに死んだダニーの妹から始まり、次にダニーたちをホルガへ連れてきた、こちらも死神・ペレ(演/ヴィルヘルム・ブロムグレン)が描かれます。
タペストリー中央には、ペレがハーメルンの笛吹き男に扮した絵。
そして紙面の右半分には、アッテストゥパンからクライマックスの熊燃やし(造語)までを網羅した完全ネタバレ絵が描かれているのです。
②「ラブストーリー」のタペストリーの謎
のちにクリスチャンが“入る”ことになる熊の入った檻を横目に、サイモン&コニー(演/アーチー・マデクウィ&エローラ・トルキア)カップルが目にしたのは「ラブストーリー」のタペストリー。
こちらは前述のタペストリーとは逆に、右から左へ展開します。
恋をした少女が、後ろ向きに花を摘み、その花を枕に敷いて眠れば、ラブラブな夢を見る。
朝になると少女は、自らの陰毛を切り取って(生理も入れて…?)料理に混ぜ、“すきぴ”に食べさせると恋が成就するそうな。
のちにマヤの毛を食べることになるクリスチャンが、このタペストリーの説明を聞いていないのもポイント。
③アッテストゥパンの儀式は本当にあった?
スウェーデン版・姥捨て山。伝説ではありますが、実際にあった話ではないようです。
72歳を迎えた人間が、崖から飛び降り“天に身を捧ぐ”儀式・アッテストゥパン。
スウェーデンでは伝説として有名なのだそう。
言うなれば「姥捨て山伝説」で、モノの例えなんかに使うワードなのだとか。
政治に不満をもったスウェーデンのお年寄りが、「それじゃまるでアッテストゥパンじゃねえか」のように使用します。
④ミートパイは人肉だった?
人肉だったらいいな。
ダニーも手伝ったミートパイ(タルト)作り。
サイモンが失踪した直後に振る舞われたこの料理は、コニ―の失踪と同時に食卓に並びます。
マヤの陰毛が入っていたのもこのパイですから、ラブストーリーのタペストリーを見た2人の肉で作られていればロマンティ…さらに恐ろしいですね。
つまり、このパイに使われている肉が何なのかは明らかにされていません。
⑤「ミッドサマー」の犠牲者は全部で何人?
生贄という名の犠牲者は全部で9人!
作中の夏至祭・ミッドサマーは9日間にわたり行われます。
生贄も9人、90年に1度の儀式…オカルト的な考察もふくめれば、“9”という数字へのこだわりは、映画の端々に散らばっているのです。
アッテストゥパンで自害した老人2人、前述したサイモン&コニーで4人。
神聖な木に小便をかけ殺されたマーク(演/ウィル・ポールター)、ルビ・ラダーを拝借しようとして殺されたジョシュ(演/ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)で6人。
ホルガからの“志願者”が2人、そして、女王・ダニーに選ばれた生贄・クリスチャン、全部で9人となります。
⑥マークの皮をかぶっている男は誰?
生贄志願者の1人、ホルガ村のウルフ(演/ヘンリク・ノーレン)です。
マークの立ちション事件の際、憤怒をあらわに取り乱していた男性がウルフ。
ウルフが、マークの顔と性器の皮を剥いで身に着けていました。
怒りの表現として、そんなことが許されるのであれば、非常にうらやまsh…おそろしい行為ですね。
ホルガに心身を捧げたウルフを思うと、クリスチャンとともに焼かれながら痛みに悶絶していたのがかわいそう…。
アリ・アスター監督の性格の悪さを引き受けたのが、ウルフという切ないキャラクターでした。
⑦ペレは何がしたかった?
超有能男・ペレ、ホルガ村に貢献したかったのでしょう。
90年ぶりの大事な局面で、ホルガ代表アメリカ特派員・ペレに課された任務は“外部の血”を招くこと。
「幼いころに両親が焼け死んでいる」と言っていたので、幼いころから敬虔なホルガ民だったことが想像できます。
結果、新女王までツモッてきたペレは、ホルガ内で良い立ち位置に行けそうな予感。
ついでに、前々から「ちょっといーな」と思ってたっぽいダニーの唇まで、どさくさにまぎれて奪っていたのには笑いました。
⑧ルビンは何者?存在や意味・顔が腫れている理由
近親交配で生まれた神聖な存在として、ホルガ村で祭り上げられている人物です。
閉鎖的なコミュニティであるホルガは、それゆえ近親交配の歴史をもっています。
だからこそ、ペレのように外部の血を誘ってくる人物が必要なわけで。
近親交配の特徴として、五体満足な子どもが生まれてこないことも多いのは事実。
ホルガ村の人々は、“血の濃い”彼らに特別な才能と役割を見出し、神聖な存在として崇めています。
一方で、ルビンの外見の理由もちゃんとわかっているホルガ民。
ホルガの矛盾は、そこかしこで映画をゆがませているのです。
見た目から女性と思われることもある作中のルビンは、「彼」と呼ばれており男性です。
⑨ホルガ村の性の儀式の意味と目的
ずばり、外部の血を取り入れてホルガをさらに繁栄させること!
前項とも通ずる、コミュニティ拡大計画。
ホルガの人々は、計画的な策士でもあるのです。
搾取の果てに焼き殺されたクリスチャンは、実はホルガにくる以前からマヤに目をつけられていたことも、作中で語られています。
⑩作中に登場する”ルーン文字”とは
ルーン文字は、古いアルファベットの一種です。
「ルーン(rune)」の語源には「秘密」という意味も。
映画「ミッドサマー」には随所にルーン文字が記されています。
ホルガを象徴するメイポールには、左右に「富」「進化」などをあらわす文字が。
アッテストゥパンの儀式で使われた象徴的な岩には、「贈り物」「進化」「名誉」「盾」「超自然的な力」といった意味の、儀式の説明的な文字が刻まれています。
また、メイクイーンを決めるダンスの際にダニーが着ていた服には、「成長」を逆刺繍した「死」というこわい文字と、「純潔」という文字が。
このほかにも、ホルガの建物には様々なルーン文字が秘密めいて飾られているのです。
参考サイト:観た人限定完全解析ページ|映画『ミッドサマー』公式
⑪ダニーがクリスチャンを犠牲に選んだ理由
女王としての自我の目覚め=馴れ合いからの解放。
映画開始早々から、「もう別れたいかもな…」となっていたのはクリスチャンの方でした。
クリスチャンとその周りの視点から考えれば、依存気質で“重たい”女として描かれるダニー。
しかし、私を含む多くの女的には(ここで女と限定するのはダニーとクリスチャンの関係に当てはめてのこと)ダニーをかばいたくなるもんでしょう。
そもそも脆かったダニーの精神は、身内の自死・殺人を経て完全にぶち壊れる。
そんなとき、一見ダニーに寄り添うように見えていたクリスチャンは、単に別れのタイミングを逃した小心者にも映ります。
この世にごまんといる、カップルが破局するとき現れる“悪者になりたくない病患者”としてのクリスチャンは、その性質のせいでホルガに焼き殺されるのでした。
そう、「先に目覚めたのはダニーの方だった」ただそれだけの、悲しいブレイクアップ・ストーリーでもある「ミッドサマー」。
「ミッドサマー」の制作時、アリ・アスター監督は失恋したばかりでした…。
⑫ダニーの最後の笑顔の意味は…
きっぱり・すっきりさようなら!
板に乗せられ担がれて、見た目通り“持ち上げられる”新女王・ダニー。
意味不明の展開にあれよあれよと流されて、「なんかよくわかんないけどキモチイイ~」となっている最中のダニー(お薬でバキバキ)が決めた、元恋人の処刑!
自己肯定感が秒刻みで爆上がりしているダニーが、クリスチャンを手放した解放感こそがラストの笑顔だと思います。
とはいえ、お薬が途切れたころ、いつものように後悔で張り裂けそうになるダニーの姿も予言できる私たち。
ホルガ村の人々にたくさん共鳴してもらって、トラウマを乗り越えていけるといいですね。
⑬ダニーはその後どうなった?
メイクイーンが殺されるとは考えにくいので、女王としてホルガで生活しているのではないでしょうか。
家族も恋人もないアメリカに帰ってもしんどいだろうし、ホルガ村はなんだかんだ適応できているダニーの真の居場所ではなかろうか。
ことの顛末を知るペレがいれば、辛いとき寄りかかれるし、ホルガは共鳴の村なので居心地も良さそうです。
嫌なことが続きましたから、ホルガで新しい人生を仕切り直すのがいいかもしれません。
次のメイクイーンが誕生するときまで、せっかくならば女王気分を満喫してほしいです。
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「ミッドサマー」公式の情報をもとに、自分勝手に考察し解説してまいりました。
アリ・アスター監督作品の面白さは、見た後に「あーだこーだ」と考えられるところだと思います。
観客の数だけ答えがある映画の世界。
考察記事を書いていたら、「ミッドサマー」がもっと好きになりました!
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