映画「ハクソー・リッジ」は、第二次世界大戦中に激戦地・沖縄で銃を持たずに75人の命を救った兵士の実話が元になっている作品です。
監督は「ブレイブハート」でアカデミー作品賞と監督賞を受賞し、「アポカリプト」以来10年ぶりに本作でメガホンを握ったメル・ギブソンです。
主演は「アメイジング・スパイダーマン」シリーズの、アンドリュー・ガーフィールド。
この記事では、映画「ハクソー・リッジ」の主役のモデルとなった人物、舞台となった前田高地の場所、「ひどい」と言われた理由などをネタバレを交えて解説します。
また、主人公デズモンドは日本兵を助けたのか?についても考察します。
作品名 | ハクソー・リッジ |
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公開年 | 2016年 |
上映時間 | 139分 |
監督 | メル・ギブソン |
脚本 | ロバート・シェンカン アンドリュー・ナイト |
音楽 | ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ |
キャスト | アンドリュー・ガーフィールド サム・ワーシントン テリーサ・パーマー ルーク・ブレイシー ヒューゴ・ウィーヴィング |
配給 | キノフィルムズ |
【ハクソーリッジ】映画は実話?あらすじを簡単紹介

【結論】「ハクソー・リッジ」は第二次世界大戦の沖縄戦に衛生兵として従軍したデズモンド・T・ドスの実話をモデルにした戦争映画である。
デズモンド・ドスは、ヴァージニア州ブルーリッジ山脈近郊の街で育ちました。
両親は敬虔なキリスト教徒でしたが、第一次世界大戦の帰還兵である父・トムは、アルコール依存症で度々家族に暴力をふるっていました。
ある日、デズモンドは喧嘩していた弟をレンガで殴り重症を負わせてしまい、それ以来「汝、殺すことなかれ」という教えを深く心に刻み込みました。
第二次世界大戦が勃発し弟や友人たちの多くが出征していく中、デズモンドは軍需工場で働いていたため兵役は免除されていました。
看護師の恋人・ドロシーと幸せな時間を過ごしていたデズモンドも、衛生兵として陸軍に入隊することを決心しました。
ハウエル軍曹の過酷な訓練を仲間と共に乗り越えていましたが、狙撃の訓練が始まるとデズモンドは「銃に触れることは出来ない」と言い出したのです。
実は、信仰上の理由から敵を殺すことや武器を扱うことは出来ない「良心的兵役拒否者(良心的協力者)」として衛生兵に志願していたのです。
上官や兵士達からは理解を得られず、除隊に追い込むために過酷な労働をさせられたり、嫌がらせを受けたりするようになり、遂には命令拒否で軍法会議にかけられる事態に。
グローヴァー大尉やドロシーは、罪を認めて釈放されるよう説得を試みましたが、デズモンドは信念を曲げることはありませんでした。
判決の日、軍服を着た父・トムが一通の手紙を持って議場に現れました。
先の戦争で上司だったマスグローヴ准将に直談判して、“良心的兵役拒否者の権利は、議会報で認められる”という書面を描いてもらったのです。
これによって、デズモンドの主張は認められることになりました。
終戦間近の1945年5月、グローヴァー大尉率いる第77師団としてデズモンドら兵士たちは、最前線である沖縄の「ハクソー・リッジ」に到着。
先発部隊がすでに6回突撃しましたが、敵の激しい攻撃に遭い全て撃退されたという難攻不落の激戦地でした。
日本軍による猛攻撃を受け、戦闘開始直後に仲間の兵士たちが次々に倒れていくのを見たデズモンドは、部隊が退却した後も戦場へ残り救助を続けるという決断をするのですが…。
【ハクソーリッジ】映画のラスト・結末とネタバレ部分の紹介!
映画「ハクソー・リッジ」のラスト・結末とネタバレ部分を解説します。
映画のラスト結末はどうなった?

部隊が撤退した後も崖の上へ残ったデズモンドは、重傷の兵士達を救出し続けました。
自らも息も絶え絶えになりながらも、「神様、どうかもう一人、もう一人助けさせて下さい」と繰り返しながら、一晩中負傷者を崖の下へと降ろし続けたのです。
翌朝地上に降りたデズモンドは基地で手当を受け、上官や仲間の兵士達はデズモンドの献身的な姿に敬意を表しました。
グローヴァー大尉は「誰にも出来ない軌跡を成し遂げたな。人生最悪の勘違いだった、許してほしい」とデズモンドの信念を疑っていたことを謝罪しました。
そして、翌日また一緒に戦場へ向かって欲しいと大尉から頼まれたデズモンドは了承し、戦闘開始前に崖の下で深く神に祈りを捧げました。
デズモンドの祈りが終わると、大尉の掛け声で突撃を開始。
死体の山となっている崖の上で、再び日本軍との熾烈な戦いが始まりました。
激しい死闘が繰り広げられる中、負傷兵の救助にあたっていたデズモンドも手榴弾で脚を負傷してしまい、担架で運ばれることに。
デズモンドの元へ駆け寄ってきたグローヴァー大尉から「ハクソーが落ちた」と勝利の一報を聞き、安堵の表情を浮かべ崖の下へ降ろされるのでした。
デズモンドが人を殺さないと決めた理由

デズモンドは「人を殺さない」という信念を持ち続けていましたが、その理由は何だったのでしょうか。
映画の中で直接的には言及はされていませんが、デズモンドの家族はキリスト教の教派「セブンスデー・アドベンチスト教会」の信徒で、安息日、非暴力、菜食主義を重んじていました。
デズモンドは喧嘩で弟に重症を負わせてしまったことがきっかけで、「殺人は最悪の罪、人の命を奪う以上に重い罪はない」という母の言葉とともに、モーセの十戒の1つ「汝、殺すことなかれ」という教えを特に深く心に留めていたのです。
そのため、教義は重んじるが正義の為に戦いたい、という思いを叶えるために「良心的兵役拒否者」として志願する選択をしました。
デズモンドが銃を持つことを頑なに拒否したきっかけは、実はもうひとつありました。
ある日、父が銃を片手に持ったまま母を殴ったのを目撃したデズモンドは、激昂して銃を奪い銃口を父に突きつけたのです。
父は泣き崩れデズモンドは銃をおろしましたが、その時にデズモンドは二度と銃を握らないと神に誓ったのでした。
その時のことを振り返り、銃では撃たなかったが「心で撃った」と戦友のスミティに語っていました。
デズモンドは生還した後どうなった?
デズモンドは自らの命を危険にさらしながら75人の負傷兵を救い、その勇敢な行為に気持ちを動かされた仲間たちや上官によって救われました。
生還後に「良心的兵役拒否者」としてアメリカ史上初めてデズモンドに名誉勲章が授与された、とエンドロールで説明されています。
1991年に妻・ドロシーが亡くなるまで二人は睦まじく暮らし、デズモンドは2006年3月に87歳で亡くなりました。
戦場では英雄でしたが普段は控えめで、全てを神に捧げる人生を全うしたそうです。
エンドロールでは、デズモンド・ドス本人、弟のハロルド・ドス、ジャック・クローヴァー大尉などの実際のインタビュー映像も確認することができます。
「ハクソー・リッジ」で描きたかったことは
映画「ハクソー・リッジ」で、メル・ギブソン監督が描きたかったことは何だったのでしょうか。
当初、軍の上官や部隊の仲間たちは「良心的兵役協力者」として戦場へ向かうデズモンドを「ただの臆病者」だと勘違いしていました。
戦場でのデズモンドの献身的な働きを目の当たりにして、“戦場で武器を持たない勇敢さ”や“信念を突き通すことの強さ”を深く理解し尊敬するようになりました。
メル・ギブソン監督は「もし戦争に行くことになったら、私は武器を手にすると思う。彼は信仰心のみで戦地に赴いた。彼の信念は揺るぎなかった、他にそんな信仰心を持つ人が?それが惹かれた理由だ」とインタビューで話していました。
ギブソン監督は、激戦地でデズモンドが見せた勇敢な行為を通じて、強い信念と信仰心を持つことの大切さや尊さを本作のメインテーマとして描いているのではないでしょうか。
【ハクソーリッジ】映画は実話?モデルと舞台の前田高地の場所を解説

前述の通り映画「ハクソー・リッジ」は、衛生兵として沖縄戦に従軍した衛生兵の実話を元にしています。
モデルのデズモンド・T・ドスと、舞台となった前田高地の場所について解説します。
モデルになったデズモンド・T・ドスは日本兵も助けた?
映画の中で描かれた通り、実際にデズモンド・T・ドスは信仰上の理由から「良心的兵役拒否」の衛生兵として軍に入隊し、沖縄のハクソー・リッジで75人の負傷兵の命を救い名誉勲章を授与されました。
劇中、地下トンネルの中で遭遇した瀕死の日本兵にモルヒネを打ちガーゼを当てるシーンや、2人の日本兵を救助して崖の下へ降ろしたが2人とも死亡した、と仲間の兵士が話しているシーンがありました。
実際にデズモンドが日本兵を助けたかどうかは、明らかにはなっていないようです。
しかしデズモンド程の信念をもっていた人物であれば、敵兵であっても本当に助けていたかもしれないと思ってしまいました。
また劇中描かれていない事実として、デズモンドは1944年にグアムの戦い、フィリピン諸島の戦いにも参加しており、その時にも負傷兵の救助を行ったことでブロンズスターメダルを受章しています。
「ハクソー・リッジ」の舞台になった前田高地の場所は?
映画「ハクソー・リッジ」の舞台になった、前田高地はどこにあるのでしょうか?
沖縄本島の南側に位置する、現在の浦添市にある浦添城跡一帯の丘陵が前田高地です。
アメリカ軍からは、切り立った崖の形状から「弓鋸(ゆみのこ)の尾根」を意味する「ハクソー・リッジ(Hacksaw Ridge)と呼ばれていました。
現在、前田高地周辺は子供向けの遊具などが設置された「浦添大公園」として整備されていて、家族連れの方や本作を見た観光客なども訪れる場所となっているそうです。
沖縄戦の前田高地”前田の戦い”について
本作の後半で描かれた、前田高地での「前田の戦い」とはどんな戦闘だったのでしょうか。
太平洋戦争末期の1945年4月25日から5月6日まで行われた、アメリカ軍と日本軍との戦闘で「嘉数の戦い」に匹敵する沖縄戦の激戦として知られています。
当初アメリカ軍は、頂上の争奪戦で多くの死傷者を出しましたが、日本軍が陣地を築いていた洞窟を攻撃し徐々に日本軍は追い詰められていきました。
5月6日にアメリカ軍が前田高地を完全に占領し、前田の戦いは終結しました。
【ハクソーリッジ】映画がひどいと言われた理由…グロい&日本兵が卑怯?

「ハクソー・リッジ」は第89回アカデミー賞で録音賞と編集賞を受賞し高い評価を得ている作品ですが、ネット上など一部で「ひどい」と言われています。
ここでは、今作が「ひどい」と言われている理由について解説します。
グロいシーンの連続
映画の後半「前田の戦い」のシーンでは、戦場の“地獄絵図”が非常にリアルに描かれています。
下半身が吹き飛び内蔵が飛び出す、放置された死体にウジやネズミがたかる、死体が突然叫び声を挙げて起き上がる、兵士が上半身だけの仲間の死体を盾にする等々、トラウマ級のグロいシーンが連続して映し出されます。
グロいシーンが多い戦争映画の代表、「プライベート・ライアン」に匹敵するほどの残酷描写です。
ローリング・ストーン誌でも、“「ブレイブハート」と「プライベート・ライアン」以来、最も暴虐で血まみれた殺戮”と評されています。
沖縄が戦場で「敵=日本兵」のため、やはり日本人としては「プライベート・ライアン」よりもショックが大きいかもしれません…。
日本兵が卑怯に描かれている
苛烈な戦闘の終盤、日本兵たちが白旗を掲げ投降して来ると見せかけ、「今だ!」と叫びアメリカ兵に向かって手榴弾を投げるシーンがありました。
また、先発隊の衛生兵から「赤十字の腕章は外せ、衛生兵は餌食になる」と忠告されるシーンもあります。
ジュネーヴ諸条約で保護される対象の衛生兵ですら、日本軍は攻撃していたということを意味しています。
アメリカ軍の視点から描かれた作品であることから、脚色された内容の可能性はありますが、実際にこれらの卑劣な行為があったかどうかは不明です。
日本兵が卑怯に描かれていてモヤモヤとした気持ちになりますが、「日本軍も最後まで諦めずに抵抗していた」という描写の一環なのではないかと思います。
【ハクソーリッジ】映画の見どころ&重要ポイント3選!
ここでは、映画「ハクソー・リッジ」の見どころや重要ポイントを3つ紹介します。
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①80年前に沖縄で起きた実話
今から80年前、日本本土防衛の最後の拠点として、沖縄で住民をも巻き込んだ激しい地上戦が行われました。
沖縄地上戦の戦没者は、日本軍、アメリカ軍、民間人合わせて20万人とされています。
「ハクソー・リッジ」というタイトル名からは、どこか日本ではない海外で行われた戦争のように思われるかもしれませんが、こんなにも激しい戦闘が沖縄で行われていたことを、最後まで目をそらさずに見届けてもらいたいです。
沖縄戦を描いた映像作品は、「あゝひめゆりの塔」「きけ、わだつみの声 Last Friends」「ザ・パシフィック」などがありますので興味を持った方は是非鑑賞してみて下さい。
②前半の人間ドラマも感動的!
本編139分のうち前半の約1時間は、デズモンドが「良心的兵役拒否者」として認められるまでの家族・上官・隊員たちとの人間ドラマが丁寧に描かれています。
特に、ヴィンス・ヴォーン演じるハウエル軍曹や、サム・ワーシントン演じるグローヴァー大尉が、最初は「面倒なやつが来たな」という扱いをしていたところから、段々とデズモンドの信念に心を動かされていく演技が素晴らしいです!
軍法会議の前にドロシーと一緒に大尉が監獄にいるデズモンドを説得に行くシーンや、デズモンドが裁判で有罪覚悟で信念を貫き通す姿を見守る軍曹と大尉の姿が印象的です。
凄惨な戦闘シーン目当てで見ていると、前半のパートが少し間延びして感じられるかもしれません。
しかし、戦場に行くまでの人間模様がキッチリと描かれているからこそ、戦地での各登場人物たちの人間ドラマに一層感動できる展開となっています。
③スミティとの熱い友情

オーストラリア出身の俳優ルーク・ブレイシーが演じた、デズモンドの戦友・スミティとの友情関係にも注目です。
同じ部隊に配属された当初から、デズモンドをライバル視していたスミティ。
デズモンドが銃を持つことを拒否していると明らかになると、デズモンドを試すかの様に「臆病者」と呼び挑発的な態度をとっていました。
しかし、他の隊員のリンチに加わるようなことはなく、どこか一定の距離を保ちながらデズモンドを見守っている様子でした。
戦場でのデズモンドの活躍を見て「誤解していた」と謝罪し、互いの家族や過去のことを語り合い2人は心を通わせるのですが、翌日の戦闘でスミティは死亡。
スミティの死によって流石のデズモンドも心が折れかけますが、「僕に何をしろと?」と神に問いかけた瞬間「衛生兵、助けて!」と声が聞こえ、再びデズモンドは負傷者の元へ走っていきます。
見ている方もスミティの突然の死にはショックを受けますが、デズモンドの信念や信仰心の強さを証明する重要なシークエンスとなっています。
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【ハクソーリッジ】映画は沖縄戦に参加した衛生兵の実話を描いている
- 映画「ハクソー・リッジ」は、沖縄戦に従軍したデズモンド・T・ドスの実話がベース
- 戦場の舞台となった「前田高地」は、現在の沖縄県浦添市にある
- グロいシーン&日本兵が卑怯な描写で「ひどい」と言われている
この記事では、映画「ハクソー・リッジ」のモデルの人物や舞台となった場所、ひどいと言われた理由などを解説しました。
最前線に赴き負傷兵の応急医療をする「衛生兵」は、戦争映画に欠かせないキャラクターですが脇役扱いのことが多いですよね。
今作では普段あまりスポットライトを浴びることのない「衛生兵」が主役だったということも、非常に興味深かったです。
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