この記事では「あんのこと」の映画の結末や、元ネタとなった新聞記事について解説していきます。
「実話だなんて嘘だと言って」と叫びたい。
ゴミのような家族とドブみたいな環境で21年を過ごしてきた女性が、針の穴ほどの希望を見つけたはずだったのに。
あの日、全世界を停止せんばかりだったコロナ・ウィルスは、ひとつの人生に影を落としました。
しかしこのコロナが、たまたま彼女の生きざまをあぶり出したというだけで、今この瞬間にも這いつくばって生きている誰かがいるのです。
衝撃の実話をベースに定点観察された「あんのこと」は、あなたの隣で起こっていたかもしれない物語です。
作品名 | あんのこと |
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公開年 | 2024年 |
上映時間 | 1時間53分 |
監督 | 入江悠 |
脚本 | 入江悠 |
音楽 | 安川午朗 |
キャスト | 河合優実 佐藤二朗 稲垣吾郎 ほか |
配給 | キノフィルムズ |
【あんのこと】実話?映画のあらすじを簡単に解説
結論:映画「あんのこと」は2020年6月付の新聞の小さな三面記事をモチーフにしている。
21歳の香川杏(演/河合優実)は、売春をくりかえしながら“シャブをくう”日々。
目の下のクマは異常に発達し、幽霊のようにゆらゆらと東京の街をさまよいます。
ある日のラブホテル、杏の隣で客の男が気絶。
シャブでキマっていた杏はパニックに陥り、警察のお世話となりました。
そこで変人刑事・多々羅(演/佐藤二朗)と出会い、薬物を断つための自助団体を訪れた杏。
多々羅の友人・桐野(演/稲垣吾郎)とも出会い、3人で人間らしい生活への第1歩を踏みだした杏だったけれど…。
【あんのこと】実話?映画の結末ラスト・最後はどうなった?
映画「あんのこと」の結末について解説していきます。
「あんのこと」映画の結末・ラストの解説
隣人に押しつけられた赤ん坊の面倒を見るうち、自然と、自分の育て直しをしていた杏。
けがれなき赤ん坊の様子は、疲れ果てた杏に元気をくれるものでした。
ある日突然現れた子どもは、これまで生きてきたスラムのごとき人生に差し込んだ、光だったのです。
うんちの始末、離乳食…子育ての大変さは、杏の生きる糧となりつつありました。
その子どもを、実母・春海(演/河井青葉)に奪われた杏。
あまりの展開に、春海を刺し殺そうとする杏ですが、未遂に終わります。
絶望の果てに、杏はふたたび覚せい剤を打ち、自宅のベランダから飛び降りて亡くなりました。
”あん”が命を絶ったのは誰のせい?
【結論】刑事・多々羅のせいです。
多々羅のせいにすることで杏を救った、映画的なやさしさと感じました。
多々羅のモデルとなった人物が実際に逮捕されたのは、杏(仮名)の死後。
映画では、杏がスリップする理由のひとつとして、多々羅の事件の時系列を変えています。
正直なところ、杏の死に責任があるのは、杏ただひとりだとも思うのです。
ただ、映画がそんな、キツい現実みたいなこと言うのはサムい場合もあって。
物語として、杏の心をへし折る装置として、多々羅の裏切りが機能していたように感じました。
”あん”の母親と祖母はどうなった?
引き続きぼんやりと生きていくのでしょう。
多々羅と桐野に支えられ、地獄の実家から逃げ出した杏。
しかし、杏が選んだ死は、実質の敗北宣言にもなってしまっているのがキツい…。
事実、杏のお骨は母・春海によって自宅に引き取られ、墓も用意されないままに、杏の実体はホコリと暴力とセックスにまみれて忘れられていくだけなのです。
祖母・恵美子(演/広岡由里子)のぼんやり感はこの世の終わりほどの最低度で、きっと若いころにいじめ倒したであろう娘・春海の生きざまに口も出せず、ただ息をし続けるのみ。
毒親への唯一の復讐方法は、幸せに生きる姿を見せ続けることだけなのに、なんで死んでしまったんだ杏!
あんまり悔しくて、香川家の早々の滅亡を願うのみです。
シングルマザーと息子はどうなった?
ふらっと戻ってきたシングルマザーは児童相談所から息子を取り戻し、2人は家へと帰っていきました。
筆者個人的に最も胸くそが悪く大嫌いなキャラクターが、このシングルマザー・三隅紗良(演/早見あかり)。
会ったこともない隣人の杏に乳幼児を押しつけ、走って逃げていったこの女。
息子のアレルギーを知りながら杏に伝えることもせず、おむつなど最低限の品も渡さず、ペラッとはした金を渡して逃げたこの女。
杏の死後、なんとなく感謝の言葉を述べるばかりか墓参りに行きたいような雰囲気まで出すゲス女です。
このような人物のもとに、平気で子どもを返してしまう日本のシステムを憂うようなシーケンスでした。
いずれ香川家のようになっていくのでしょう。
【あんのこと】実話?事件の新聞記事の内容・元ネタを解説
入江悠監督は、本作が「初めて実話を基にした作品」だと語っています。
実話の周縁を探っていきましょう。
「あんのこと」元ネタになった新聞記事の内容は?
2020年6月に朝日新聞で報じられた「コロナが奪った25歳の中学生活 路上で倒れていたハナ」の記事です。
実の親からおぞましい虐待を受けていたハナ(仮名)さん。
学校へは行けず、11歳のころから実の母親に売春を強いられ、14歳で覚せい剤を使用し始めた彼女。
ハナさんを取り調べた元刑事(劇中では多々羅・後述)の後押しで自助団体とつながりました。
その後、さまざまな人の協力で改善されていったハナさんの生活。
少しずつ働きながら、社会との接点をつかみ、夜間中学で学びなおすはずだったハナさんは、コロナ禍により再び孤立していきます。
そうして彼女は、2020年の春にこの世を去りました。
刑事・多々羅の元ネタになった刑事のその後…
特別公務員暴行陵虐罪で逮捕、起訴されました。
杏を更生に導く救世主のようなキャラクターの多々羅。
多々羅のキャラクターには、ベースとなる元刑事がいます。
なんとこの元刑事が、べつの更生者への性加害により逮捕されたのです。
前述のように実際には、ハナさんの自死後に逮捕されている元刑事。
映画では、多々羅の逮捕が、杏の気持ちをくじく大きな原因として描かれています。
やはりこの時系列の変化が、映画ならではの深みになっていると感じました。
記者・桐野の元ネタは?
実在する新聞記者・稲垣千駿さんがキャラクターのベース。
映画の桐野は週刊誌の記者という設定ですが、入江監督が桐野のベースにしたのは朝日新聞社の稲垣千駿さんです。
桐野役を“稲垣”吾郎さんが演じているのにも、何か理由がありそうな気もします。
新聞記者である稲垣さんをベースに、週刊誌の記者らしい肉付けをおこなって作られた桐野というキャラクター。
また、桐野が所属する編集部のロケ地は、実際の「週刊文春」の編集部なのだそう。
画面に映る積まれた資料なども、すべて“ホンモノ”という裏話が!
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【あんのこと】は実話・実際の新聞記事を元ネタにしている…
- 「あんのこと」は実話が元になっている
- 杏と多々羅にはモデルとなった人物がいる
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実話が元になった作品という事実が、鑑賞後も胸に傷痕を残す本作。
煮えたぎるような怒りを感じる方も多いでしょう。
しかし、入江組と河合優実さんが心身を削って映画史に刻んだ、ハナ(仮名)さんの生きた証をぜひ体感してみてほしいです。
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