映画「ブルーピリオド」実写はひどい&漫画のどこまで?映画の評価・感想とキャストあらすじ解説

映画「ブルーピリオド」実写はひどい&漫画のどこまで?映画の評価・感想とキャストあらすじ解説

青の渋谷に3次元の八虎…!!

“感覚で読む”原作漫画を、空気感そのままに青々と実現させたエモ実写「ブルーピリオド」。

しかし人気漫画原作の実写化ということで、一部ではひどいという噂もあるようですが実際はどうなのでしょうか?

この記事では「ブルーピリオド」実写がひどいと言われる理由や原作漫画のどこまでを映画化したのか、評価・あらすじありでご紹介します。

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この記事には映画の結末や重要なネタバレを含む可能性があります。未鑑賞の方はご注意ください。

公開日2024/8/9
監督萩原健太郎
原作山口つばさ
脚本吉田玲子
キャスト眞栄田郷敦
高橋文哉
板垣李光人
桜田ひより
薬師丸ひろ子
ほか
音楽小島裕規“Yaffle”
上映時間1時間55分
配給ワーナー・ブラザース映画
公式サイト映画「ブルーピリオド」公式サイト
上映劇場映画「ブルーピリオド」上映劇場
目次

【ブルーピリオド】実写はひどい?映画を見た評価・感想

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一部では”ひどい”と言われている「ブルーピリオド」実写映画。

公開初日に干渉してきた今作について、ストーリー展開、結末、再現度、再鑑賞したいかの観点から映画を評価してみました。

ストーリー展開
わかりにくい
わかりやすい
結末への評価
いまいち
スカッとした
再現度
いまいち
素晴らしい
再鑑賞
1回でOK
何度も見たい

ストーリー展開

単純明快すぎて最高にわかりやすいです!

原作の流れとほとんど変わらないし、受験に向かってひたすら勉強するというまっすぐな時系列が、八虎ばりにまっすぐで一直線!

八虎×キャンバスの心理戦がメインなので、原作ほど周囲のエピソードが出てこず、よけいにシンプル一直線でした。

個人的にすきな桑名マキ(中島セナ)のコンプレックスに関するエピソードなどがカットされていたのはすこし残念

「このままいったら大学編突入するんじゃ…?」と思うぐらい、中盤かっ飛ばしたスピード感も、良い意味で夏休みエンタメという感じでした。

結末への評価

原作でいうところの、2点めのピリオドが打たれて終わる、やはりシンプル・イズ・ベストな閉幕が心地よかったです!

自分で自分に期待していられるのって、気分が上がっているときに限られるし、八虎は大学に入ると苦しみまくってつらいので、「合格イエイ」で終われたのは良かったと思います。

卒業ってエモいよね。

再現度

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(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

前述した矢口家同様、見た目にとらわれない再現には映画の可能性を感じました。

“ほんといい友だち”でおなじみ八虎たち4人衆も、それぞれ漫画のキャラクターとはちがいましたが、彼らの美しい友情はしっかり描かれています。

同級生たちそれぞれのエピソードをけずり、八虎という人間を描き出すために時間を費やしていた印象。

それゆえ、逆に見た目と雰囲気に重きを置いたキャラクターもいます。

ユカちゃんはじめ、世田介や橋田(秋谷郁甫)、三木きねみなど、みためパーフェクトでテンション上がりました。

大葉先生とかもはや、そもそも原作から江口のりこさんベースで描いてましたよね…?

ユカちゃんの登場カットや、八虎が渋谷に浮かぶシーンの画角も原作通りでアガります

八虎の字、つばさ先生が書いたのか、つばさ先生の字を真似て書いたのかわかりませんが「八虎の字だ!」となってうれしかったです。

再鑑賞

おなじく原作ファンの夫ともう一度劇場に行くつもりです!サブスク解禁も楽しみだなぁ…何度も観たい

【ブルーピリオド】実写はひどい?実際はどうだったのか

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(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

前述のように、八虎の“選ばれし者”感を増したエンタメ加工が施されていたのが印象的

本作のテーマは“VS自分”なので、八虎をはじめとした各々のキャラクターが、自問自答を繰り返すさまが見どころのひとつです。

八虎のモノローグを最小限まで削り、ある程度脳内世界を隠したことで映画っぽい“のりしろ”ができていました。

モノローグを減らしても、台詞は原作とほとんど変わらないので、説明すっとばして感情にぶっ刺してくる感じになってて、それもよかった

八虎を、ほんとうに“なんでも持ってるひと”にしている、映画の嘘が小気味良かったです。

八虎以外のキャラクターも、見た目とイメージのバランスがとれていて好印象でした。

必ずしも原作通りのみためじゃないんだけど、漫画で見ていた絵と台詞を1人の人間に落としこんだら「こんな感じかも」というしっくり感があった。個人的には満足度の高い実写化でした!

【ブルーピリオド】実写は原作漫画のどこまでを映画化?

結論、実写映画「ブルーピリオド」は原作漫画の1巻〜6巻までを映画化しています。

ここでは映画の原作漫画についてご紹介していきます!

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「ブルーピリオド」実写は原作漫画6巻までを映画化

八虎の東京藝大合格までなので、単行本第6巻まで実写化されています。

115分で6巻なので、割とかっ飛ばしてる感はありますが、夢を叶えまくる郷敦氏は見ごたえ抜群でした。

漫画では悶え苦しむ八虎がよいけど、無双状態の八虎もまたよかった!

「ブルーピリオド」原作漫画と作者情報

山口つばさ先生による原作漫画「ブルーピリオド」は、月刊アフタヌーンにて2017年から連載されています。

自身も東京藝術大学を卒業した経歴をもち、実体験を生かした設定が本作の魅力です。

原作漫画「ブルーピリオド」は、キャンバスを前に人生を思案する八虎たち絵描きを通して、読者も人生を省みることができる教養漫画。

絵のこととかわかんないけど、なんか泣ける、とかなんか興奮する、とか「ブルーピリオド」読んでると感情が上下します

まだ完結していないですし、映画で“スーパー八虎”に萌えたあなたに、もっと“人間ぽい”八虎が見られる原作漫画の購読をオススメします!

テレビアニメ化や、舞台化など多方面に展開している「ブルーピリオド」の魅力は、やはり感情移入しやすいキャラクターにあるでしょう。

人間のエグみを逃さないのがつばさ先生の魅力。「山口つばさ短編集 ヌードモデル」もかなりオススメです!

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【ブルーピリオド】実写・映画のあらすじ解説(ラスト・結末まで)

映画「ブルーピリオド」のあらすじをラスト・結末までご紹介しています。

映画をまだ見ていない方はご注意ください。

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起:ブルーピリオド

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(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

高校2年の矢口八虎(眞栄田郷敦)は、ノルマをクリアするように日々を過ごしています。

愛情深い母に見合う息子になるため、決して裕福ではない家庭に負担をかけないようにと、国公立の大学を目指す八虎。

八虎には、夢も目標もありませんでした。

学校では成績を上位キープしながら、毎晩友人たちと渋谷の街で呑んだくれ、スポーツバーで試合の行方を見守る日々。

きっと、こんな風にうまくやって、社会のレールに乗って生きていくんだろうと、自分の人生を傍観していた八虎は、ある日1枚の絵と出会います。

3年の森まる(桜田ひより)が描いたその絵は、八虎を突き動かしました。

森の絵と、絵を描く森そのものに、取り憑かれたように興味をもった八虎は、いつも酔って見上げている早朝の渋谷の街を描きます。

八虎が描いた、青みがかった街の絵は、友人たちから絶賛されました。

褒められたことに感動し、八虎はさらに絵の世界にのめり込んでいきます。

八虎が“青い渋谷”を描いたひと筆め、その“青い点”こそがブルーピリオド。空虚な人生の終焉と“矢口八虎第2章”のはじまりだった

承:東京藝術大学

受験まであと620日というとき、八虎はまったくふれてこなかった絵の世界へ飛びこみます。

「東大より難しい」と言われる難関・東京藝術大学への入学を心に決めた八虎

「他の美大にくらべて学費が安めだから」という八虎は、どこまでも親思い

早速美術部に入り、持ち前の素直さで“描く技術”をどんどん吸収していきます。

他の生徒にくらべて圧倒的に時間が足りないと考えた八虎は、さらに美術の予備校に通い、しゃかりきに描き続けました。

同じ高校の同級生である鮎川龍二、通称・ユカちゃん(高橋文哉)は、八虎のよき理解者として、がむしゃらな八虎をさりげなく支えます。

八虎は、とにかく枚数を重ねて、他の受験生との“時間”の差を埋めようとしていました。

その八虎の努力は周囲に伝播し、自分のことのように八虎を応援する仲間も増えていきます。

家計のやりくりに苦しむ母親も、八虎の本気を前に根負けし、東京藝大への受験を応援することに決めたのでした。

転:ユカの絶望

あっという間にやってきた入試の日。

こん詰めてがんばり続けた八虎の体にはじんましんができ、睡眠不足は頭をぼうっとさせます。

それは、他の受験生も同じこと。

一次試験の開始ベルが鳴り、“自画像”というテーマを前に八虎は試行錯誤します。

勝負の神さまは八虎にほほえみ、アクシデントさえチャンスに変換しながら一次試験を突破。

しかしその日、べつの試験会場にいたユカは、試験開始の合図とともに、キャンバスにバッテンをつけて会場を飛び出していたのです。

二次試験を控えながら、ユカに誘われ小田原の海へと向かった八虎。

悲しみをあらわにするユカに、八虎はじっと向きあいます。

ユカは、理解のない父親に人格否定され家を飛び出していました。

大学に入りたい気持ちを、絶望が追い抜いちゃった

それでも絵を愛する気持ちは変わらないユカは、小田原の宿で、八虎に「ヌードを描こう」と持ちかけます。

鏡を前に全裸となり、背中を向けた2人は、己の裸体と対峙しながら自分と、そして相手とじっくり向きあいました。

結:俺だけの世界

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(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

ユカとの深い時間を過ごした八虎は翌日、その足で二次試験へ。

勝負の神はまたしても微笑み、二次のテーマはヌードと発表されます。

目の前のモデルを通し、ユカとの会話、自分の裸体、そして自分という人間を見つめなおす八虎。

八虎には、受験までの日々で、自分でも気づかないうちに“軸”ができていました。

それは、「俺が描きたい絵を描く」というシンプルなもの

紆余曲折がないとたどりつけない原点

目玉と脳、そして肉体を通して見ている“俺だけの世界”があると学んだ八虎は、自分を信じてキャンバスに向かいました。

…短く、そして永遠に感じた“己との戦い”にひと区切りがついた八虎は、恐るおそる合格発表の地へ。

散っていく仲間のなか、八虎は東京藝術大学に合格

高まる自分への期待を胸に抱き、八虎は今日もキャンバスに向かいます。

大学合格が、八虎にとって2度めの“ブルーピリオド”!

【ブルーピリオド】実写キャストの評価:印象に残ったキャスト3選

映画「ブルーピリオド」で印象に残ったキャストは以下の3名です。

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①矢口八虎役/眞栄田郷敦

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(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

まず前提として、本作は夢や目標がある人向けの作品です。

加えて、制作の現場でしゃかりきがんばっているなんてことであればなおさら、涙がちょちょぎれるほど刺さります

しかし人生とは、そもそもそんなにがんばるものでもない側面もありますので、本作が全く刺さらない方もいて然るべきだと思うのです。

そんなときは、郷敦氏のキリッとした横顔を眺めていれば、映画館のスクリーンも大きなキャンバスに見えてくるでしょう。

まっすぐ前を射抜く八虎の視線が郷敦氏に宿ってた

そして前者、しゃかりき人生をがむしゃらブチ進んでいる夢追い人にとって、自分こそが主人公なわけですから、八虎に重ねるのはもちろん己。

劇場で己の美しい人生を顧みて「よくやってんじゃんあたい、素敵じゃん」と自己肯定感を高めるのに、八虎の薄づきなキャラはちょうどいいです。

郷敦氏も意識して引いてる気がしました

映画版・八虎として完璧だったと思います。

②高橋世田介役/板垣李光人

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(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

よたくんに関しては、見た目から完全一致です。

華奢な体、おどおどした目線、にじみ出る悪意、素晴らしい完全再現だったと思います。

試験の休憩時間に八虎のとなりでモチみたいなおにぎりみたいな謎の白い玉たべてるとこすき

原作のなかでも好きなキャラクターなのですが、天才でありながら挫折せずスッと東京藝大に入れちゃう感じとかいいですね。

つばさ先生のなかに、天才に対するねじ曲がった怨恨等がないのかもしれません。

天才って創作のなかでいじめたくなっちゃいがちだけど

ネルシャツがよく似合う板垣さんのよたくんがかわいかったです!

③恋ちゃん役/兵頭功海

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(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

恋ちゃんは見た目ゼロキャスティングで賛否両論ありそうですが、私はそこはかとないリアリティを感じました。

原作ではいかつい印象で、八虎に影響されてパティシエを目指すことにするアツい男

身長も192㎝で、たぶんそもそも適齢の適任がいなかったんだと思います。

が、兵頭さんの恋ちゃんには、夜な夜な渋谷で呑み散らかす=ヤンキーというわけでなく、単に親が不在で出歩ける子どもたち、という感じが、ちゃんとありました。

八虎をふくむ仲良し4人組が最高すぎて何度泣かされたことか

4人が並んだときの、言いようのない「それな」感というか、リサーチなしには表現しようのないカースト感というか、かなりよかったです。

八虎が“周囲からどう思われているか”という描写も、原作ほど描かれていなかったぶん、ふつうっぽい4人組の方がノイズにならないし、よかった!

「あぁ、この恋ちゃんはラーメン屋よりタルト店を好みそうだな」と、八虎同様にこちらも“映画版”のキャラクターとして愛せました。

【ブルーピリオド】実写で印象に残ったシーン・場面3選(ネタバレあり)

映画「ブルーピリオド」の中で私が印象に残った場面は以下の通りです。

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①名台詞

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(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

原作で印象的な台詞の数々が、映画版でもキラキラしていました!

特に、八虎が絵にのめりこむきっかけとなる「生まれて初めてちゃんと人と会話できた」という台詞でドバドバ泣いたものです。

筆者もなにかしら制作したりするので、妄想が作品になるまでの過程というか、脳みそをチームに開陳するときの“会話感”、あれほんとゾクゾクするんですよね…

佐伯先生(薬師丸ひろ子)の「好きなことをする努力家は最強」という名パンチラインも登場。

森先輩の「あなたが青く見えるなら、リンゴもうさぎも青くていいんだよ」なんて、絵や色の話を超えた人生訓です。

ユカちゃんの「悔しいと思うならまだ戦えるね」という八虎への激励も、夜の渋谷にこだましていたよ

②絵の具

これまで平面で見ていた絵の具たちが、プチュッという音とともにムニュッとするのがよかったです!

「あーこのまま置いとくと表面が乾いたっけなぁ」と、幼い日のお絵かきを思い出して郷愁に浸ったりも。

郷敦氏を前にすると、実際のキャンバスの大きさもわかり「デカッ」と思いましたし、美術室のにおいが立ち上がってくるような感じもしました。

機会がないと、絵の具ってほんとにさわらないもんなぁ…大人になると特にね

③矢口家

原作でも度々描かれる、あたたかい家族代表・矢口家の再現度が高めでした。

ずんのやすさんと石田ひかりさんによるほっこり父母は、自転車操業ながらも愛情を手放さない、芯のある“家族”。

あの2人がいて、素直な八虎がいるという納得の構図

人が通り終えた場所の電気を速攻で消す、お母さんの節電意識も印象的です。

ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」のデコライトおじさんを思い出したので「逆パラサイト」と命名します

【ブルーピリオド】実写はひどい&映画は漫画のどこまでか:まとめ

  • 「ブルーピリオド」実写の”ひどい”という感想は概ね噂のみで満足の内容
  • 「ブルーピリオド」実写は原作漫画の6巻までを映画化している
  • 「ブルーピリオド」実写は年齢・性別問わず熱くなれる作品!

美術室の箱イスとか、ゆれるカーテンとか、絵の具の香りがしてくるような空気が映っていて気持ちよかったです。

八虎みたいに、新しい場所に飛びこむ勇気をキープしながら年を重ねていけたらいいな

年齢・性別問わず楽しめる作品なので、ぜひ劇場で「ブルーピリオド」の世界にふれてほしいです!

そしてエモ爆発涙腺崩壊の原作漫画もぜひ読んでください!

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