「凶悪」は2013年に公開され、日本アカデミー賞など、数々の賞を受賞した映画です。
リリー・フランキーさんとピエール瀧さんの怪演が、特に注目を集め、「怖すぎる」と話題になりました。
「孤狼の血」シリーズなど、ハードコアな作品に定評がある白石和彌さんの出世作でもあります。
「凶悪」は、上申書殺人事件をモデルにしており、こちらの記事では、事件との関連や作品の魅力を深堀りしていきます。
作品名 | 凶悪 |
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公開年 | 2013年 |
上映時間 | 128分 |
監督 | 白石和彌 |
脚本 | 高橋泉 |
音楽 | 安川午朗 |
キャスト | 山田孝之 ピエール瀧 リリー・フランキー 池脇千鶴 |
配給 | 日活 |
【凶悪】映画は実話?あらすじを簡単に紹介
【結論】映画「凶悪」は実話の上申書殺人事件がモデルになっている。
週刊誌の記者として働く藤井のもとに、死刑囚の須藤から手紙が届きます。
手紙には、須藤の余罪である3件の殺人事件と、「先生」と呼ばれる首謀者の木村の存在が綴られていました。
藤井は、須藤の話を聞きに刑務所へ向かうと、快く取材を引き受ける様子に驚きます。
須藤の話をもとに、藤井は事件にまつわる取材を続けますが、会社から記事の掲載の許可がありませんでした。
すると、藤井に対して好意的な態度だった須藤の様子が、恐ろしいほどに一変してしまいます。
【凶悪】映画のラスト・結末やネタバレになる部分を解説
「凶悪」の結末やネタバレに踏み込んだ内容をまとめていきます。
映画のラスト・結末の解説
須藤の余罪の話を聞かされた藤井は、取材にどんどんのめり込んでいくようになり、真相に近づいていきます。
しかし、認知症である母の介護を妻に押し付けたことで、家庭の空気は悪くなる一方です。
藤井は、家庭をそっちのけにしながら記事を書き上げて、須藤たちの余罪が世間にも明らかになりました。
記事によって警察が動き、木村は逮捕されましたが、藤井は「木村にはまだ余罪があるはず」と納得がいきません。
藤井は、刑務所で木村と面談しますが、「お前が一番俺を殺したいと思っている」と言われて、呆然とするのでした。
「凶悪」で恐ろしいのは、パーティー気分で殺人を繰り返す須藤と木村なのは言うまでもありません。
しかし、目的を見失い過剰に事件に執着する藤井も、彼らと同じ側面を持っていると映画は伝えていると感じました。
行き過ぎた正義によって生まれた狂気は、殺人と紙一重なのかもしれません。
須藤はなぜ殺人を告白した?
「凶悪」は、週刊誌に須藤が手紙を送ったところから始まるため、なぜ殺人の告白をしたかわからず物語が進みます。
藤井が取材をしていくと、須藤は身内からの裏切りを最も嫌っていながら恐れていることがわかってきます。
藤井が取材した内容を記事にできないと伝えると、須藤は「お前も裏切るのか!」とひどく取り乱していました。
須藤は木村からの裏切りによって、自分を慕ってくれた舎弟を殺したことを悔やんでいます。
刑務所に入った須藤と裏腹に、一般社会で木村は生き延びていることに憤っています。
須藤は自分の行いへの懺悔と、木村への復讐のため、殺人を告白したのだと感じました。
木村が最後、藤井に向かって指差した意味は?
木村は、面談にきた藤井に対して指を差して「俺に一番死んで欲しいと思っているのはお前だ」と言い放ちます。
恐らく木村は藤井に対して、「お前も自分と同類だ」と言いたいのだと感じました。
藤井は取材のためとはいえ、家庭を蔑ろにして暴走し、人相も悪くなっていきます。
取材を依頼してきた須藤が満足しているにも関わらず、藤井は取材をやめようとしません。
もはや正義というより、狂気に近い様子で、藤井は木村に対する執着を募らせていきました。
殺人に対して歯止めが効かなくなっている木村と、取材を続ける藤井はどこか似たように見えてきます。
呆然と面会質に取り残される藤井を見ていると、こちらもゾッとしてしまいました。
事件の取材に関わった藤井の心境の変化
須藤から依頼を受けた藤井は、真剣に須藤の話に向き合っている様子ではありませんでした。
しかし、須藤の話があまりにも具体的であったため、藤井は須藤の話を信じるようになり取材を行います。
そして、入念に取材を重ねるも、木村の犯罪を明らかにしたいと強く思うようになりました。
当初の藤井は、記者として事件の真相を探っていたと思います。
しかし、いつからか認知症の母の介護という事情から、目を背けるように取材に没頭するようになりました。
保険金殺人をしていた木村へ執着することで、藤井は自分の後ろめたい事情を、無意識に隠していたのかもしれません。
【凶悪】映画は実話!モデルになった事件は?上申書殺人事件とその後を解説
「凶悪」のモデルになった上申書殺人事件について解説します。
映画にどのような影響を与えたのか、実際の事件との差について書いてみました。
上申書殺人事件とは
上申書殺人事件は、死刑判決を受けていた被告人が上申書に提出した内容から、殺人事件が明らかになったというものです。
被告人が「先生」と慕っていた不動産ブローカーが、3件の殺人事件の首謀者と上申書に記されていました。
報酬の受け取りを反故にされ、ブローカーにそそのかされて舎弟を射殺してしまったことを恨み、告発したと思われます。
被告人に取材を続けていた「新潮45」(現在廃刊)によって、事件は報じられて、ブローカーの事件は刑事事件となりました。
上申書殺人事件のその後はどうなった?
被告人によって告発された3つの事件のうち、日立市ウォッカ事件と呼ばれるものが刑事裁判に至りました。
結果的に、首謀者のブローカーは無期懲役、共謀者である被告人は、懲役20年の判決を受けます。
そして、ともに犯行に至った舎弟たちは不起訴になり、保険金殺人の依頼をした家族は、懲役13年から15年になりました。
また、殺人事件の依頼をした工務店の経営者は、事件の捜査中に事故死しています。
ひとつの事件に対しては制裁が与えられましたが、他の2件については立件されておらず、微妙な後味が残りました。
映画と実際の事件との違いはある?
「凶悪」は、実際の事件の経緯をかなり忠実に映像化しています。
死刑囚からの告発により、首謀者が逮捕されるまでの流れは、ほとんど実際の事件と同じです。
映画化にあたって記者の家族に背景が加えられたことが、ほぼ唯一の変更点と言えるでしょう。
取材に没頭して家庭を疎かにする記者が主人公になり、不謹慎ながら「面白い」ストーリーになったと思います。
「凶悪」を、いい意味で後味が悪く印象的な作品に仕上げたのは、藤井の物語があったからではないでしょうか。
「凶悪」の原作はノンフィクション小説「凶悪 -ある死刑囚の告発-」

「凶悪」の原作は、新潮45編集部編より出版された「凶悪 -ある死刑囚の告発-」です。
被告人の告発を取材した編集部による、ノンフィクション小説で文庫本が10万部を超える大ヒットを記録しました。
獄中の被告人の告発から、事件の真相を暴く過程を克明に記した1冊です。
2011年にフジテレビの「アンビリバボー」で特集されて、大きな話題を呼びました。
【凶悪】映画の見どころ・重要なポイントを解説!
「凶悪」の見どころや重要なポイントを解説していきます。
こちらをご覧いただいた上で、再鑑賞をおすすめしたいです!
※↑リンクをクリックで知りたい項目へ飛べます。
見どころ①:回想シーンを見逃すな
白石和彌監督は、回想シーンの入り方を最も工夫している映画監督だと思っています。
回想シーンは、基本鉄器には過去にあった出来事を説明するだけなので、映画の中では退屈になりやすいものです。
ところが「凶悪」では、藤井が犯行現場の窓を拭くと、部屋の中にいないはずの木村と須藤が現れます。
そして、約40分にわたって木村と須藤の犯行が描かれていくという流れです。
超現実的なシーンの導入と、主人公がしばらく登場しないという構成には、とても驚かされました。
トリッキーな演出と大胆な構成によって、「凶悪」は唯一無二の映画になったと思います。
見どころ②:リリー・フランキーとピエール瀧のコンビを見逃すな

「凶悪」を観ると、「リリー・フランキーさんとピエール瀧さんの演技が凄い」という感想は、ほぼ一致すると思います。
極悪非道な保険金殺人を繰り返す二人を、本当にそういう人にしか見えないリアリティで演じられていました。
特にピエール瀧さんが演じる、須藤の「ぶっこむ」は、不謹慎ながら真似をしたくなるセリフです。
木村が嬉々として殺人を繰り返す悪ノリには、引いてしまいそうになりながらも、不思議と見入ってしまいます。
また、リリー・フランキーさんは同時期に「そして、父になる」にも出演しており、演技の振れ幅が話題を呼んでいました。
見どころ③:山田孝之の顔を見逃すな

「凶悪」のラストシーンは、呆然としたような何とも言えない表情の藤井の顔で終わります。
藤井は表情の起伏が乏しく、 何を考えているかわかりづらい人物です。
終わってから振り返ると、藤井がちょっとずつ事件にのめり込んでいくのが、繊細な表情の変化で見えてきます。
いつの間にか、藤井が須藤の冗談に笑っているところには、ゾッとさせられました。
藤井の心の揺れ動きから狂気を、山田孝之さんが表情によって、繊細に演じ分けていたと思います。
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【凶悪】実話だった…恐るべき殺人事件を豪華キャストで映画化
- 「凶悪」は実際の事件を基にしたフィクションの映画
- 基本的には事件に忠実に作られている
- リリー・フランキーとピエール瀧の演技が特に注目を集めた
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