映画「リトル・ダンサー」は、2001年に公開されたイギリスのヒューマンドラマ作品です。
この映画の主人公はバレエが大好きな少年ビリーで、作品ではビリーの夢や同性愛者マイケルとの友情、炭鉱争議がもたらした貧困問題などが描かれています。
映画の登場人物はフィクションですが、主人公ビリー・エリオットのモデルになった人物は実在しているので、どんな人物なのか気になった方も多いでしょう。
この記事では、映画「リトル・ダンサー」の実話とフィクション部分についてあらすじやネタバレを含めて解説していきます。
作品名 | リトル・ダンサー |
---|---|
公開年 | 2001年 |
上映時間 | 110分 |
監督 | スティーヴン・ダルドリー |
脚本 | リー・ホール |
音楽 | スティーヴン・ウォーベック |
キャスト | ジェイミー・ベル ジュリー・ウォルターズ ゲイリー・ルイス ジェイミー・ドレイヴン アダム・クーパー |
配給 | 角川ヘラルド映画 |
【リトルダンサー】映画は実話?あらすじを簡単紹介

【結論】「リトル・ダンサー」は実話とフィクションが交差する1人の男の子の夢を描いた物語。
舞台は1984年、英国の北東部。
母親のいない少年ビリーは、炭鉱夫の父や兄トニー、認知症の祖母と暮らしています。
炭鉱ストライキ中の兄と父は貧しさから苛立ち、繊細な感性のビリーはビクビクするばかり。
ボクシング教室に通っていたビリーは、ある日隣でやっているバレエのレッスンに興味を持ち、女の子たちと一緒に踊ってみました。
踊るのが楽しくなったビリーは、ボクシング教室に行くフリをしてバレエ教室に通っていましたが、それが父親にバレてしまいます…。
【リトルダンサー】映画のラストシーン・結末とネタバレになる部分を解説
ここからは映画「リトル・ダンサー」の結末や、ネタバレ部分について詳しく解説していきます。
「リトル・ダンサー」映画のラストシーン・結末の解説
父は、ビリーが男の子だからという理由でボクシングを押し付け、バレエを禁じます。
しかしバレエ講師のウィルキンソン先生はビリーの素質を見抜き、ロイヤル・バレエ学校へ進学させるため、内緒で無償のレッスンを開始しました。
いよいよバレエ学校のオーディションに行く前日、ピケ隊の活動で目をつけられていたトニーが警察に捕まります。
トニーは無事釈放されますが、ビリーはオーディションに間に合わず、訪ねて来た先生と父が口論に…。
それから月日が経ち、冬がやってきました。
最悪な気分のクリスマスの夜、ビリーと親友のマイケルがジムでダンスをしていると、父に見つかります。
もはや逃げも恐れもせず、父親の前で堂々とダンスするビリー。
ようやく息子のダンスの才能を認めた父は、ウィルキンソン先生に相談し、ビリーをバレエ学校へ進学させる決意を固めました。
父はスト破りをしてバレエ学校の資金を作ろうとしますが、町の仲間のカンパでビリーの進学に協力してもらえることになります。
その後ビリーは見事ロイヤル・バレエ学校へ合格し、町の友人たちに別れの挨拶をしました。
ビリーはバレエダンサーになれた?
結論:ビリーはバレエダンサーになれました!
映画のラストシーンは、大人になったビリーの公演を、父と兄が見に行くシーンで締めくくられます。
兄の座席の横には、何と成長したマイケルがパートナーを連れ座っているというサプライズも!
白鳥の湖の音楽と共に現れたビリーがステージでハイジャンプする瞬間に、映画の幕は閉じます。
これまでにはない、生き生きとした表情を見せる父。
ジェンダーの縛りから解放されたビリーとマイケルの姿は輝かしく、明るい気持ちにさせてくれます。
ビリーと歩いていた女の子が消えている!?
ビリーは、女の子(ウィルキンソン先生の娘アビー)と仲良しです。
序盤の2人の下校シーンで警察の車が通り過ぎたあと、アビーが消えたように見えるシーンがあり、鑑賞中「あれっ?」と思った方も多いでしょう。
このシーンについては「何が起こったのかわからない」や「何で消えたの?」など、疑問の声が多数あがっています。
一部では車がスクリーンの左から右へ動いているため、同じ方向に走ったアビーが隠れて見えなくなったのだろうといわれています。
しかしどう見ても、アビーがパッと消えたようにしか見えませんよね。
これは、下校シーンのアビーがビリーの見た幻影だったのでは?と考えると腑に落ちるかもしれません。
中盤で、牛乳を飲むビリーに亡き母親が声をかけるシーンがあることから、この映画はやや非現実的な場面を含めた作りになっていることがわかります。
問題のシーンの直前に、アビーはズラリと並ぶ警察隊のシールドを木の枝でコツコツ叩きながら歩いていますが、現実なら怖くてそんなことできないでしょう。
だから「このシーンにアビーはいなかった」という解釈が妥当。
ビリーは1人で下校していて、警察の車が通り過ぎた瞬間に幻影が消え、ふっと現実に戻されたのだと考えられます。
「リトル・ダンサー」が伝えたかったことは…

映画「リトル・ダンサー」から受け取れるのは、男の子はこうあるべき、女の子はこうあるべきという同調圧力に負けず、心からやりたいことをやろうというメッセージ。
バレエに出会ったばかりのビリーは「バレエは女の子がするもの」という固定観念にとらわれ、周囲の視線を気にします。
さらに厄介なのは、先入観に縛られた家族や周囲の大人たちの存在。
炭鉱ストライキ中の町は、ウロつく警察隊とイライラした大人たちに溢れ、最悪なムードです。
しかし気持ちをぐちゃぐちゃにされたビリーは、その怒りをタップダンスで表現。
自分の本音と向き合い大好きなダンスをすることで、魔法がかかったように何もかも忘れることができたのです。
また性的マイノリティでありながら自己肯定的なマイケルの登場によって、多数派でなくても全然OKというメッセージをより強調しています。
【リトルダンサー】映画は実話?モデルのダンサーや物語の背景を解説
「リトル・ダンサー」のストーリーは基本的にフィクションで、ビリー・エリオットという人物が実在したわけではありません。
ただしビリーのモデルになった人物は存在し、映画の中の社会的背景は実話です。
ここからはモデルになった人物や、物語の背景について解説していきます。
「リトル・ダンサー」の社会的背景
物語の舞台になるのは、閉塞感漂うイギリス北東部の炭鉱町。
当時イギリスで政権を握っていたのは、「ミルク泥棒」や「鉄の女」で批判されていたマーガレット・サッチャーです。
1984年3月、炭鉱の労働組合を敵視していたサッチャーが20か所の赤字炭鉱の閉鎖計画を発表したため、全国で炭鉱ストライキが始まりました。
劇中のビリーの父や兄トニーも炭鉱労働者で、このストライキに参加しているという設定です。
ストライキせず勤務すれば政府から高額な報酬を受け取ることができたため、組合を裏切る形で働いて収入を得た労働者もいました。
彼らは「スト破り」と呼ばれ、裏切り者扱いされます。
ストライキ中の人々はスト破りを見張り、就労を妨害するなどのピケを行い、しばしば警察隊と激しく対立しました。
この警察隊とピケ隊の戦いは、映画「リトル・ダンサー」の中でも生々しくしく描写されています。
炭鉱争議は長引き1985年まで続いたため、収入を失った炭鉱労働者は困窮し、仲間同士の分裂やいさかいが絶えない状況に…。
最終的には炭鉱労働組合側の方でストライキの中止が決まり、労働者の敗北となりました。
当時の子供たちはイライラする大人の顔色をうかがい、将来への不安を感じながら毎日を送っていたものと考えられます。
ビリー・エリオットのモデルはウェイン・スリープ
主人公ビリー・エリオットは、架空の人物です。
ビリーのモデルになった人物は一般的に、イギリスの伝説的ダンサーであるウェイン・スリープだと言われています。
タップダンスの達人としても有名なウェインは、ロイヤルバレエ団の元プリンシパルで、劇中ではビリーの憧れのダンサーという設定になっている人物。
1948年生まれのウェイン・スリープは、身長が158センチとやや小柄でしたが、数々の困難をポジティブに乗り越えプリンシパルまで昇りつめたようです。
またウェインは1985年のロイヤル・オペラ・ハウスのクリスマスパーティーで、ダイアナ妃とダンスを踊ったことでも有名。
なお、ビリーのモデルについては、ウェイン以外にもケネス・マクミランやフィリップ・モーズリー、ルドルフ・ヌレエフなど複数の名が挙げられています。
【リトルダンサー】ビリー・エリオットの子役とキャストは誰?
ここからは、映画「リトル・ダンサー」で子供と大人それぞれのビリーを演じた俳優の来歴や、現在の活躍についてご紹介します。
ビリー・エリオット役/ジェイミー・ベル
子供時代のビリーを演じたのは、当時13歳だったジェイミー・ベル。
北東部出身のジェイミー・ベルは、オーディションで2000人以上の少年たちの中から選ばれました。
母親と祖母、姉妹や叔母もダンサーというすごい環境で育ったジェイミーは、6歳からバレエを習い始め、さらに9歳からは演技も学んでいます。
スティーヴン・ダルドリー監督は、ジェイミーとの出会いについて「干し草の中から針を見つけたんだよ」と語りました。
実はジェイミー自身にも子供時代、内緒でダンス教室に通った経験があるそう。
北東部の訛りを持つ少年に演じてもらいたいというのも監督のこだわりで、ビリンガム出身のジェイミーはそこもクリアしていました。
ジェイミー・ベルは「リトル・ダンサー」で映画俳優デビュー後、映画「キング・コング」や「父親たちの星条旗」、「異人たち」など多数の作品に出演し、実力派俳優として活躍しています。
25歳のビリー/アダム・クーパー
ラストシーンで大人になったビリーを演じたのは、ロンドン出身のバレエダンサーとして世界的に有名なアダム・クーパーです。
アダムは5歳の頃から、兄と共にダンススクールへ通い、バレエ以外にもタップダンスを習いました。
16歳からは兄サイモンと同じくロイヤル・バレエ学校へ進み、本腰を入れてバレエを学び始めます。
1989年ロイヤル・バレエ団に入団したアダムはその実力が評価され、1994年には最高位であるプリンシパルへ昇格。
そして1995年、アダムはマシュー・ボーン版のミュージカル「白鳥の湖」で主役に抜擢され作品と共に注目されます。
ボーン版は、クラシック・バレエの代表作である「白鳥の湖」のストーリーに独自の改変を加えたもので、男性同性愛者の悲しい恋の物語になっているのが特徴。
そしてこのボーン版「白鳥の湖」こそが、映画「リトル・ダンサー」のラストシーンで上演されているバージョンなのです。
このような理由から、アダム・クーパーが25歳のビリー役で特別出演したことは大変意義のあることで、人々からは関心が集まりました。
【リトルダンサー】映画の見どころ・重要ポイントを紹介

ここでは映画「リトル・ダンサー」の見ていただきたいポイントや、見逃してほしくない箇所を3つご紹介します。
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①支え合うビリーとマイケル
映画「リトル・ダンサー」では、自分らしく生きることが難しい環境に置かれた少年2人に焦点が当てられています。
1人は主人公のビリー、そしてもう1人はビリーの親友マイケルです。
特に印象的なのは、同性愛者であるマイケルが姉の服を着てビリーを驚かせるシーン。
マイノリティでありながらどこか飄々とそのことを楽しんでいるマイケルが、ビリーを励ます存在になっています。
またビリーは、同性愛者ではありませんが「バレエをする男の子」という少数派側の立場に立つことで、LGBTQのマイケルの気持ちを理解できるようになりました。
ビリーは、マイケルにチュチュを着るように勧めたり、町を離れるとき頬に軽くキスをしたりすることで、同性愛者への理解を示しています。
②父親を通して描かれる貧困の悲しみ
序盤からビリーの父は、怒りっぽくとても嫌な人物として描かれます。
しかしストーリーが進むにつれ、果たして何が彼にそうさせるのか?と問題提起をする役目を担っていきます。
クリスマスの日に、父が亡き母の大切にしていたピアノを壊し、暖炉の薪を用意するシーンは大変ショックなものでした。
貧しさで怒りの感情に満ちた父がピアノを叩き壊した後に声をあげて泣いたとき、はじめてこんなことをさせる貧困が許せない、一部の人々を切り捨てるような政策は許せないという気持ちにさせられます。
仮にもピアノを持つ程度には生活に余裕のあった家庭が、薪も買えないほど貧しくなることが痛々しく、貧困とはこんなに悲しく恐ろしいものなのかと実感させられるのです。
ピアノはエリオット家にとって母との思い出、そして生きていくための心を満たす芸術の象徴。
これらを犠牲にしなければ生活していけない状況下、不器用な父がビリーを応援するようになる展開は胸熱です!
③対照的に描かれる炭鉱争議とバレエ
映画「リトル・ダンサー」では、豊かなときには許される芸術への嗜みが、貧しいと許されなくなっていく状況の危うさも表現されています。
ビリーはバレエに夢中の男の子という点でも少数派で肩身が狭いのですが、「こんな大変なときにダンスだって?」という人々の冷ややかな視線も感じずにはいられませんでした。
そんなビリーを助けたのは、ウィルキンソン先生と認知症のおばあちゃん。
祖母がビリーを擁護するときだけ、自分の意見をしっかりと話しているのは、とても印象に残ります。
映像表現も、薄暗い影を落とす炭鉱町とキラキラまぶしいビリーのバレエが交互に映し出され、とてもエモーショナル。
劇中の音楽も、兄が警察から逃げるシーンではクラッシュの「ロンドン・コーリング」、ビリーの先生の車の中では「白鳥の湖」という風に、ジャンルが違い対照的です。
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【リトルダンサー】映画自体は実話ではないが背景やモデルはいる
- 映画「リトル・ダンサー」の主人公ビリー・エリオットは架空の人物
- 25歳のビリーを演じたのは、ボーン版ミュージカル「白鳥の湖」でしられるアダム・クーパー
- 映画「リトル・ダンサー」は貧困の中、バレエを諦めなかった少年を描く感動作
この記事では映画「リトル・ダンサー」のどこまでが実話なのかについて、考察しました。
映画「リトル・ダンサー」は、英国の炭鉱ダラムを舞台にバレエ好きな少年の夢を描いた感動作です。
本作は映画「愛を読むひと」や「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」でしられるスティーブン・ダルドリー監督のデビュー作なので、かなりおすすめの作品といえるでしょう。
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