1999年に公開された『マトリックス』は人類と機械の戦いという特異な設定が好評で、その後も多くの映画ファンを虜にしています。
ネオが体を仰け反らせ弾丸を避けるシーンはとても話題になり、あのポーズを真似する人も続出しました。三部作の公開後、続編が作られていなかったシリーズですが、その後2021年、新作の『マトリックス レザレクションズ』が公開されています。
この映画がなんだか気になるけど過去作を見てないし、どこから入ればよいか分からない方も多いでしょう。この記事では、マトリックスシリーズの見る順番や予習しておきたいポイントについて解説していきます。
『マトリックス』の見る順番を解説!シリーズは公開順に見るとわかりやすい
なぜなら『マトリックス』の映画作品は、公開順と時系列順が同じだからです。特に1作目の『マトリックス』では、シリーズのルールや設定が分かりやすく説明されているので、ここから入ると間違いありません。
ここで気になるのが様々な時系列のエピソードが入ったオムニバスアニメ『アニマトリックス』の存在です。『アニマトリックス』はどのタイミングで見ればよいのでしょうか?
おすすめの見る順番としては以下の「『アニマトリックス』も含め全て公開順」と「三部作の後に『アニマトリックス』を見る」の2通りがあります。
『アニマトリックス』も含め全て公開順
『アニマトリックス』は『マトリックス リローデッド』の公開直前にリリースされました。これは『アニマトリックス』の1話目の「ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス」が『マトリックス』と『マトリックス リローデッド』の間の物語だからだと考えられます。よって以下の順番で見ると、ちょうど公開された時と同じような感じで視聴できます。
- 『マトリックス』(1999年)
- 『アニマトリックス』(2003年)
- 『マトリックス リローデッド』(2003年)
- 『マトリックス レボリューションズ』(2003年)
- 『マトリックス レザレクションズ』(2021年)
三部作の後に『アニマトリックス』を見る順番
一般的な映画ファンのように、三部作を見終わり一段落ついたところで『アニマトリックス』を見ることも可能です。その場合は以下のような順番になります。
- 『マトリックス』(1999年)
- 『マトリックス リローデッド』(2003年)
- 『マトリックス レボリューションズ』(2003年)
- 『アニマトリックス』(2003年)
- 『マトリックス レザレクションズ』(2021年)
『マトリックス』シリーズ各作品のあらすじや概要
『マトリックス』の世界観や細かい設定は独特です。各作品の印象的なシーンは覚えているものの、起こった出来事を思い出せない人も多いでしょう。
そこでひとまず、各作品のあらすじや抑えておきたいポイントなどをご紹介しておきます。
『マトリックス』(1999年)
公開年 | 1999年 |
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監督 | ウォシャウスキー姉妹 |
キャスト | ネオ(演:キアヌ・リーブス)、モーフィアス(演:ローレンス・フィッシュバーン)、トリニティー(演:キャリー=アン・モス) |
凄腕ハッカー・ネオの前に、モーフィアスと名乗る男が出現。彼は「この世はコンピュータが作り出した仮想空間だ」と告げ、ネオを世界の救世主として迎え入れようとしていた。コンピュータに支配された現実を直視したネオは、彼らと闘うことを決意するが…。
引用:U-NEXT公式サイト
- 偽マトリックス道場でのネオとモーフィアスの格闘シーン
- バレットタイムという手法で撮影されたネオの弾丸避けシーン
- 個性の強い悪役エージェント・スミスが大暴れ
- モノトーンの衣装で統一されたスタイリッシュな映像
マトリックス・シリーズの中で、あえて1作品見るならコレでしょう。発想や撮影手法が目新しい上、見応えのあるカンフーやアクションも好評で、公開当時大変話題になりました。
ウォシャウスキー姉妹は『マトリックス』を作るのに、日本のアニメ『攻殻機動隊』からもインスピレーションを得ているようです。互いに惹かれあっていく、ネオとトリニティーの恋愛関係にも要注目!
モーフィアスの導きにより、ネオは自分が暮らしていた世界「マトリックス」の正体を知ってしまいます。そんなネオが、預言者と対面しますが…。
ある者の裏切りの動機には、どんな意味があるのか?この世の中は本当に存在するのか?など哲学的な問いかけにも通じる作品です。
『アニマトリックス』(2003年)
公開年 | 2003年 |
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監督 | 【1.ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス】アンディー・ジョーンズ 【2.セカンド・ルネッサンス パート1】前田真宏 【3.セカンド・ルネッサンス パート2】前田真宏 【4.キッズ・ストーリー】渡辺信一郎 【5.プログラム】川尻善昭 【6.ワールド・レコード】小池健 【7.ビヨンド】森本晃司 【8.ディテクティブ・ストーリー】渡辺信一郎 【9.マトリキュレーテッド】ピーター・チョン |
キャスト | トリニティ(声:キャリー=アン・モス)、ネオ(声:キアヌ・リーヴス)、サディアス(声:ケヴィン・マイケル・リチャードソン)、ジュエ / マナブ(声:パメラ・アドロン) 、老婆(声:ベッド・フォード)、インストラクター(声:ジュリア・フレッチャー)、マシン大使(声:デイン・デイヴィス)、キッド(声:クレイトン・ワトソン)、シズ / 霧 島陽子(声:ヘディ・バーレス)、デュオ(声:フィル・ラマール)、ダン(声:ヴィクター・ウィリアムズ)、トム(声:アレックス・フェルナンデス)、雅次(声:キャス・スーシー)、アッシュ(声:ジェームズ・アーノルド・テイラー)、アレクサ(声:メリンダ・クラーク)、カイロン(声:ロドニー・ソールズベリー) |
『マトリックス』の物語はどのようにして始まったのか。なぜ人類繁栄の時代から機械との戦争に突入し、文明が崩落するに至ったのか。『マトリックス』の世界観を広げ、補完し、『マトリックス リローデッド』へ繋がる、9つのエピソードがここに紡がれる。
引用:U-NEXT公式サイト
- エピソード1.ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス
- エピソード2.セカンド・ルネッサンス パート1
- エピソード3.セカンド・ルネッサンス パート2
日本人をはじめとする世界のクリエイターと『マトリックス』の製作陣がタッグを組んだ、オムニバスアニメ作品です。
本作品はマトリックスの説明を補足する内容となっており、様々な時期の9つのエピソードが収録されています。各エピソードはおよそ10分前後ですので、サクッと視聴できるでしょう。
先述しましたようにエピソード1の「ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス」は、映画『マトリックス』と『マトリックス リローデッド』を繋ぐ物語の役目を持っています。
『マトリックス リローデッド』(2003年)
公開年 | 2003年 |
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監督 | ウォシャウスキー姉妹 |
キャスト | ネオ(演:キアヌ・リーブス)、モーフィアス(演:ローレンス・フィッシュバーン)、トリニティー(演:キャリー=アン・モス)、エージェント・スミス(演:ヒューゴ・ウィーヴィング)、 ナイオビ(演:ジャダ・ピンケット・スミス)、預言者オラクル(演:グロリア・フォスター) |
人類の救世主としての役目を自覚したネオだったが、人々に残された唯一の都市ザイオンの位置が人工知能に特定されてしまう。ザイオンを救う鍵となる人物を求め、ネオ、モーフィアス、トリニティーら仲間たちは再びマトリックス世界に入るのだが…。
引用:U-NEXT公式サイト
- エージェント・スミスの暴走!無数に増えて手におえない
- 高速道路でのカーチェイスシーン
- 人類の生き残りが住んでいる地下都市ザイオンの描写
- とうとうアーキテクトとネオが対面する
本作品では、生存者の住む地下都市のザイオンがどんな場所なのか明らかになります。
預言者に会ったネオはアーキテクトに会うべくキーメイカーに協力を求めます。
エージェント・スミスは、もはや機械にとっても迷惑な存在になりました。そこが『マトリックス リローデッド』の面白いところです。
さらにメロビンジアンやその部下のツインズなど、正体が気になる敵キャラがたくさん登場!アーキテクトからショックな話を聞かされたネオは、果たして何を選択し何を捨てるのでしょうか?
『マトリックス レボリューションズ』(2003年)
公開年 | 2003年 |
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監督 | ウォシャウスキー姉妹 |
キャスト | ネオ(演:キアヌ・リーブス)、モーフィアス(演:ローレンス・フィッシュバーン)、トリニティー(演:キャリー=アン・モス)、エージェント・スミス(演:ヒューゴ・ウィーヴィング)、ナイオビ(演:ジャダ・ピンケット・スミス)、セラフ(演:コリン・チャウ) |
人類の救世主ネオはある思惑を胸に敵対する人工知能の中枢に向かう。一方、強大な存在に成長したエージェント・スミスは全世界の脅威となっていた。そしてモーフィアスは、救世主ネオがあらかじめ作られたシステムだったという事実に直面し…。
引用:U-NEXT公式サイト
- ネオを崇拝するキッドに与えられた使命は?
- 元カノ・ナイオビの船の操縦にモーフィアスもタジタジ
- ネオが機械のボス「デウス・エクス・マキナ」と対峙
- もはや機械よりも厄介になったエージェント・スミスの存在
本作品は前作『マトリックス リローデッド』から、わずか5か月後に公開されました。
本作を見るにあたって注意する点は、ストーリーが前作からのクリフハンガー状態で始まるということです。ですから前作の記憶が新しいうちに本作を視聴しないと、何の話か分からなくなる危険性もあります。
物語はある事件の続きから始まります。事件のせいでネオは現実とマトリックスの間を彷徨い駅のホームに辿り着くのですが、そこでサティという名の少女に出会います。その後トリニティーから救われるネオ。
一方ザイオンの人々は、機械軍の侵略に脅えていました。そしてついにアーキテクトの話どおり、機械によるザイオン攻撃が始まってしまいます。
マシーン・シティへたった2人で行くネオとトリニティー、急いでザイオンへ戻るモーフィアスとナイオビ、ザイオンを守るミフネ船長やキッド。それぞれの場面で皆が苦境を抱え、境地へ追い込まれていきます。物語の中盤は悲惨な出来事が次々に起こり、辛くなるかもしれません。
そして遂に機械のボスキャラ「デウス・エクス・マキナ」と対峙したネオは、ある思いがけない選択をします。
ザイオンはその後どうなるのか?それは次作の『マトリックス レザレクションズ』で明かされます。
『マトリックス レザレクションズ』(2021年)
公開年 | 2021年 |
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監督 | ラナ・ウォシャウスキー |
キャスト | ネオ / トーマス・アンダーソン(演:キアヌ・リーブス)、トリニティー / ティファニー(演:キャリー=アン・モス)、モーフィアス(演:ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世)、スミス(演:ジョナサン・グロフ)、バッグス(演:ジェシカ・ヘンウィック)、アナリスト(演:ニール・パトリック・ハリス)、サティー(演:プリヤンカー・チョープラ・ジョナス)、レクシー(エレンディラ・イバラ) |
- 過去の三部作のお話が「ゲームの物語」として残っている
- 青い髪が素敵な新キャラクターバッグスの登場!
- 成熟したネオやトリニティーに感動
『マトリックス レザレクションズ』は三部作の続編で『マトリックス レボリューションズ』の60年後が舞台になっています。ネオは新しい世界の人気ゲーム「マトリックス」のゲームデザイナーとして生きています。一方、別の男性と結婚したトリニティーには子供がいますが…。
過去の記憶を失ったネオとトリニティー。2人の記憶は改ざんされていますが、やはり何となくこの世界に違和感を感じているところが面白いですね。
『マトリックス』シリーズの面白い順ランキング!世界観を楽しめるのは?
この章ではマトリックス・シリーズの中で特におすすめな作品や、不評な作品への考察をしていきましょう。
『マトリックス』シリーズの中で面白いのは何作目?
シリーズの中で、どの作品が1番おすすめなのでしょうか?ベスト3を独断でご紹介するなら以下3作品が面白い順番になります。
順位 | 作品名 | 公開年 | 面白い点 |
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1位 | マトリックス | 1999年 | ・元祖バレットタイムを堪能できる ・スタイリッシュな映像表現が楽しめる |
2位 | マトリックス レザレクションズ | 2021年 | ・新設定かと思いきや過去の三部作と繋がっていた ・ポップで明るい映像表現 |
3位 | マトリックス リローデッド | 2003年 | ・エージェント・スミスがウィルス化 ・アーキテクトによる衝撃の告白 |
『マトリックス リローデッド』は本当につまらないのか?
2作目『マトリックス リローデッド』の公開には、多くのマトリックスファンからの期待が寄せられていました。しかし1作目があまりに斬新過ぎたのか、『マトリックス リローデッド』はそこまで絶賛されていません。
その理由をいくつか深掘りしてみましょう。
- アクションシーンは素晴らしく盛り上がりもあるが、物語としてはやや退屈に感じる
- アーキテクトによる衝撃の告白があまり響かない
- 難しすぎてよく分からない
本作品のアクションシーンは『マトリックス』と同様に概ね好評のようです。ただ見せ場がたくさんあるせいか、物語の大まかな筋を把握しづらくなっているのです。
登場人物らの目的がはっきり伝わってこないため、視聴後もどこかぼんやりとした印象…。
また随分前に見たけどあらすじを思い出せないので、大して面白くなかったのだろうと解釈する人もいるようです。
ネオとアーキテクトが対面するシーンは、映像的にも異質で衝撃的でした。ですがそのシーンが会話劇のみで済まされているため、話の内容が掴めなかったという人もいます。
さらにその話の内容が、マトリックスの世界観を根本的に覆すような内容だったので、視聴者が不快に思ったことも大きいです。
『マトリックス リローデッド』は哲学的で味わい深い作品ですが、1度見ただけではややこしくてよく分からないという意見も見受けられます。このようなケースでは2度、3度と視聴することで、本作の面白さを理解できるかもしれません。
このような理由から『マトリックス リローデッド』は賛否両論ある作品と言われているのです。
最新作を見る前に予習しておきたいポイント
2021年の最新作『マトリックス レザレクションズ』を楽しむために、過去の三部作のおさらいをしておきましょう。ここでは新作を見るにあたって押さえておきたいポイントや用語を解説します。
『マトリックス』三部作の予習したいポイント
結論から言えば機械によって眠らされている人々が、夢として見ている仮想空間です。人々が現実だと思っていた世界は、実はマトリックス内での出来事でした。
マトリックス内でプログラマーとして働いていたネオは「何かがおかしい」と気づいていました。そしてモーフィアスに出会い、機械の電池となることから解放されたのです。
ネオはモーフィアスという男から赤いピルと青いピルを差し出され、どちらを飲むかと選択を強いられます。
赤いピルは真実を知ることができる薬、青いピルはそのままマトリックスに残る薬です。ネオは赤いピルを飲んだので、現実世界で目を覚ましマトリックスから脱出できました。
人類は過去にマシンと戦争をして負けました。人類は機械にとって必要な太陽発電を奪おうとして、空に黒い人工雲をまき散らします。
結果、発電源を失った機械は人間の生体エネルギーを使うことを考えました。こうして人類が眠ることで、機械たちの電池の役目を果たさなければならなくなったのです。
99パーセントの人々は機械の用意した発電プラントで眠り続けていますが、モーフィアスたちに開放された1パーセントの人々は地下にあるザイオンに住んでいます。
『マトリックス』三部作の用語を解説
マトリックスの世界には様々な用語が出てきます。これらの用語を覚えていないと物語の内容を理解できず、ただぼんやりとアクションを眺めるだけになってしまうことも…。
ここでは映画の中で頻繁に出てくる用語をご説明します!
マトリックスから解放された人間の住む地下都市で、人類の最後の砦でもあります。マトリックス内で「何かが変だ」とバグに気づいた人たちが、救済されここに住んでいます。
治安維持に特化したプログラムで、マトリックス内ではある意味ウィルス対策ソフトのような役目を果たしています。マトリックスに住む人々から見れば、警察と似た存在。ザイオンから再びマトリックスに侵入した、ネオのようなアノマリーを排除するのが彼らの役目です。代表的なキャラクターはエージェント・スミス。
マトリックス内に住む預言者で、ネオやモーフィアスに会って様々なアドバイスをしています。初老の女性でマトリックスの母ともよばれています。
ネオのようにマトリックス内から排除できない存在です。
マトリックスの設計者で『マトリックス リローデッド』に初登場します。
マトリックスの世界の中で独自に存在するプログラムたちの総称。マトリックス内では人の姿をしてますが、現実世界には身体がありません。不要となったプログラムなので削除対象となり、エージェントたちから追われている放浪者のような存在。オラクルやトレインマンも、エグザイルの一種です。
『マトリックス リローデッド』から登場する男で、マトリックス最古のプログラムといわれています。フランス語を話すのが上手く、大勢のエグザイルの部下を持つ大物です。
『マトリックス』5作目の製作が決定!
マトリックスシリーズの5作目の映画製作が決まっているようです。次回監督と脚本を務めるのは、ウォシャウスキー姉妹ではなくドリュー・ゴダード。彼は過去にホラー映画『キャビン』の監督を務めています。どんな作品になるか楽しみですね!
なお、主要キャストのキアヌ・リーブスやキャリー=アン・モスらが出演するかどうかはまだ決まっていません。
まとめ
マトリックスは以下の順で見るのがおすすめです。
①『マトリックス』(1999年)→②『アニマトリックス』(2003年)→③『マトリックス リローデッド』(2003年)→④『マトリックス レボリューションズ』(2003年)→⑤『マトリックス レザレクションズ』(2021年)
もしくは
①『マトリックス』(1999年)→②『マトリックス リローデッド』(2003年)→③『マトリックス レボリューションズ』(2003年)→④『アニマトリックス』(2003年)→⑤『マトリックス レザレクションズ』(2021年)
マトリックスは昔流行っただけの、単にオシャレな映画ではありません。またこのシリーズは観客の数だけ、解釈があるとも言われています。まだ見たことがない方は、ぜひこの機会に視聴してみてください!