映画「プライベートライアン」は、1998年に公開されたスティーブン・スピルバーグが監督、トム・ハンクスが主演の戦争スペクタクル映画です。
映画史に残る名作として知られていて、第二次世界大戦中の実話がベースになっているフィクションです。
この記事では、「プライベートライアン」は何の戦争の話を描いたのか、あらすじや映画のネタバレになる部分を解説します。
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作品名 | プライベート・ライアン |
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公開年 | 1998年 |
上映時間 | 170分 |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
脚本 | ロバート・ロダット |
音楽 | ジョン・ウィリアムズ |
キャスト | トム・ハンクス マット・デイモン トム・サイズモア エドワード・バーンズ ヴィン・ディーゼル |
配給 | UIP |
【プライベートライアン】実話?あらすじを簡単解説
【結論】「プライベートライアン」は、ナイランド兄弟の実話を基にしたフィクションである。
映画「プライベートライアン」は、第二次世界大戦で軍に所属したナイランド兄弟の実話を基にしたフィクション映画です。
1944年6月6日、連合軍はナチス・ドイツ占領下のフランス北部でドイツ軍と壮絶な戦闘を繰り広げ、多くの兵士の命と引き換えにノルマンディー上陸作戦を成功させました。
熾烈な戦場となった海岸は、波打ち際が血で真っ赤に染まるほど多数の兵士が犠牲になりました。
この激戦を部下と共に生き延びたミラー大尉は、敵地の最前線で行方不明になっている空挺師団のジェームズ・ライアン一等兵を救出するという新たな任務を命じられます。
ミラー大尉と精鋭部隊の7人は、たった1人の兵士を救うために激戦地へと向かうのですが…。
【プライベートライアン】結末・ラストのネタバレ部分を解説
映画「プライベートライアン」の結末・ラストと、ネタバレ部分を解説します。
プライベートライアンの結末・ラストの解説
ドイツ軍との交戦で仲間のカパーゾ二等兵とウェイド衛生兵の2人を失ったミラー大尉たちは、遂にライアンが前線のラメルという街で橋の守備にあったっているとう情報を得ました。
しかし生き残った仲間の兵士たちは、見ず知らずの1人の兵士の為だけになぜここまでしないといけないのか、仲間が犠牲にならないといけないのかと、ライアンに対して怒りを募らせていました。
破壊し尽くされた小さな街でライアンを見つけ出したミラーは、兄弟が全員戦死したこと、そして帰還命令が出ていることを伝えます。
しかしライアンは、ミラーたちが2人の犠牲を払ったと知りショックを受け、仲間を残して帰れないと帰還命令を拒否するのでした。
予想だにしない事態に困惑するミラーたちでしたが、パリ奪還に繋がるこの街の防衛戦に協力する決断を下すことに。
ドイツ軍を市街地に誘い込み奇襲攻撃を仕掛けましたが、激しい市街戦で次々に仲間たちは戦死していきました。
ミラーはライアンだけでも犠牲にならないようにと後退させ、橋を爆破しようとしましたが敵の弾を浴びてしまいました。
身動きが取れなくなったミラーが最後の力を振り絞り、小型銃でドイツ軍の戦車を迎え撃っていたその時、仲間の戦闘機が現れたのです。
戦車や街を空爆され、一気に形勢逆転されたドイツ軍は撤退。
「ジェームズ、ムダにするな。しっかり生きろ」とライアンに伝え、ミラーは息を引き取りました。
上層部の命令通りライアンは帰還を果たしますが、ミラーの中隊はライベンとアパムの2人以外全員が戦死してしまったのです。
終戦から50年後、すっかり年老いたライアンは妻、子供、孫とともにミラーの墓を訪れていました。
「橋でのあなたの言葉を忘れたことはありません。今日まで一生懸命生きてきたことがその証です。あなたがしてくださったこと、私がそれに報いていたら幸せです」と墓に跪き感謝を述べたのです。
そしてライアンは妻に「私はいい人生を?私はいい人間かな?」と聞き、妻は「もちろんよ」答えました。
ライアンは最後にミラーの墓に向かって敬礼を捧げるのでした。
ライアン救出作戦の意味・目的は?
ジェームズ・ライアンを救出するという司令がミラー大尉に下されましたが、この作戦の意味・目的は何だったのでしょうか?
ジェームス・ライアンは4人兄弟の末っ子で、本人含む兄弟全員が兵士として戦地に行っていました。
しかし、長男のショーンはオマハ・ビーチで、次男のピーターはユタ・ビーチで、3男のダニエルは太平洋方面のニューギニアでそれぞれ命を失いました。
この事実が米軍の上層部に報告されると、4兄弟のうち生き残った1人だけでも母親の元へ帰還させなければいけないと判断されました。
ミラーに下された命令は、軍部によるライアン兄弟の家族への特別な計らいが目的だったのです。
映画の中では軍がこの決断をする際に、南北戦争の時代にリンカーン大統領が、5人の子ども全員を戦場で亡くしたビクスビー夫人へ贈った手紙が引用されていました。
実際に、米軍では終戦後の1948年に「ソウル・サバイバー・ポリシー (Sole Survivor Policy)」という規則が制定されました。
兵士の他の家族が軍の任務によって亡くなった場合、生存している兵士を守り帰還させるという規定です。
ライアン一等兵は助かった?
ジェームス・ライアンは、ミラー大尉含め中隊の6名が戦死するという犠牲の元で無事に救出されました。
「ムダにするな。しっかり生きろ」というミラー大尉の最期の言葉を守り、ライアンは白髪の老人になるまで自分の為に犠牲になった人々に対して責任を感じ、懺悔の気持ちを持って生き続けていたのです。
ラストの墓地のシーンで、ライアンはミラー大尉の墓に跪きこう感謝を述べました。
「橋でのあなたの言葉を忘れたことはありません。今日まで一生懸命生きてきたことがその証です。あなたがしてくださったこと、私がそれに報いていたら幸せです」
ちなみに題名にもなっている「プライベート(Private)」とはアメリカ陸軍の階級で、日本語では「一等兵」もしくは「二等兵」という意味です。
ライアンは第101空挺師団に入隊した時には一等兵でしたが、袖の階級章からノルマンディー上陸作戦の前日に行なわれたパラシュート降下の前後に、二等兵として昇進したとされているようです。
【プライベートライアン】実話でなんの戦争?元ネタのナイランド兄弟とは
「プライベーライアン」を実話をベースにしていますが、なんの戦争が描かれているのでしょうか?
また、元ネタとなっているナイランド兄弟はどんな人物だったのでしょうか?
第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦がベース
「プライベーライアン」は、第二次世界大戦中の「ノルマンディー上陸作戦」がベースとなっています。
第二次世界大戦の中で最も有名な戦いの1つで、連合国軍がナチス・ドイツ占領下のヨーロッパに侵攻を開始した「D-day」と呼ばれる作戦です。
ドイツ軍も猛烈に抵抗し多くの兵士が命を失いましたが、連合軍はノルマンディー地方制圧を成功させます。
本作の冒頭約20分間で描かれた、映画史に残る伝説のシーンです。
観客がトラウマになるほどの、徹底したリアリズムで戦争の残酷さや悲惨さを描いたことで大変話題になりました。
元ネタのナイランド兄弟とは
フレデリック・ナイランド三等軍曹という実在した人物とその兄弟が、本作で描かれたライアン兄弟のモデルとなっています。
フレデリックは第101空挺師団に所属し、ノルマンディー上陸作戦でパラシュート降下したものの、集合地点から離れた場所に降下してしまった、というのは映画の中で描かれた通りです。
そして同じく戦争へ行った、エドワード、プレストン、ロバートという3人の兄がいました。
フレデリック以外の3人が戦死したと報告された後、家系断絶を避けるため前線にいたフレデリックは帰還することになりました。
ここまでは映画で描かれたことと同じですが、もちろん違っている部分もあります。
映画の中では8名の精鋭部隊が救出任務にあたりましたが、実際にはフレデリックのための救出隊は存在しませんでした。
さらに、行方不明で戦死と報告されていた長男のエドワードは、後にビルマの日本軍の収容所で捕虜になっていることが明らかになり、1945年に無事に帰国したそうです。
ミラー大尉はなぜ手が震える?
序盤のオマハ・ビーチ上陸直前、ミラー大尉が初めて画面に登場するシーンで、顔が映されるより先に手が震えている様子が映し出されています。
一見すると「戦地に向かうことが怖くて震えている」というようにも見えますが、ミラーは非常に優秀な士官で、戦うことに怯えているとうわけではないとわかってきます。
しかしその後も、度々重要な局面でクローズアップで映し出されるミラーの震える手。
ミラーの手は、なぜ震えていたのでしょうか?
その理由について映画の中では原因について明言されていませんが、過酷な戦地での経験から、自律神経失調症や心的外傷後ストレス障害 (PTSD)を抱えていたと考えられます。
ミラーは軍に入る前はペンシルベニア州で11年間も高校の教師をしていた、愛国心と正義感に溢れた人格者でした。
戦争で失ってきた部下は94人もいましたが、1人部下が死ぬ度にそれはもっと多くの部下を救うためだったんだと自分に言い聞かせている、とミラーは話していました。
指揮官として部下を戦死させてしまうことへの罪悪感や絶望感、戦争自体への矛盾を強く感じ、ミラー本人が自覚している以上に精神面への大きなストレスがかかっていたと考えられます。
アパムの行動の意味は?
アパム五等技能兵は中隊の中で生き残ったうちの1人で、終盤の行動などから賛否あるキャラクターです。
当初地図の作成などを担当していましたが、フランス語とドイツ語を話せることから通訳としてミラー大尉の隊に加わります。
実戦経験もなく弱気なおっちょこちょいな性格で、百戦錬磨の他の隊員たちからはまともに相手にされていない存在でした。
仲間のウェイドを殺したドイツ兵を捕まえた際に、いくら仲間を殺した相手であっても捕虜を銃殺するのは違法だ、とアパムは主張しました。
他の隊員は、解放した捕虜がドイツ軍に戻ってしまったら戦線復帰するに違いない反論しましたが、結局ミラー大尉の判断で、連合軍へ降伏するようにと言い目隠をして捕虜を解放してしまいました。
しかし、予想通り終盤の最終決戦でこの逃したドイツ兵が現れるのです。
アパムは近くで仲間が敵に襲われているのを気づいていながらも、激しい戦闘の恐怖に震えて一歩も動くことが出来ず、仲間を見殺しにしていまいます。
その後もアパムは戦闘に参加できず物陰に隠れていましたが、あの捕虜だったドイツ兵がミラー大尉を射殺するのを目撃します。
連合軍の戦闘機が現れドイツ軍が撤退をしようとするの見ると、アパムは突然銃を構えてドイツ兵たちの前に飛び出したのです。
敵兵たちは、銃を置き手を挙げ投降しました。
捕虜だったドイツ兵は助けを求めるかのように「アパム」と声をかけましたが、次の瞬間アパムに撃たれてしまうのでした。
アパムは捕虜を殺してはいけないという理性を持ち合わせている人物でしたが、綺麗事の通じないリアルで凄惨な戦闘で仲間を失ったことで、心境が変化したと考えられます。
アパムは捕虜のドイツ兵とドイツ語で直接話をしたり、一緒にタバコを吸ったりして交流する機会がありました。
そのため、解放後は連合軍に降伏するはずだと信じていたのに裏切られたという絶望感や、見込みが甘かった自分への失望感もあったのでしょう。
観客としては、かなりイラッとさせられるキャラクターですよね。
しかし、アパムはこの映画の中で唯一「一般人」の感覚を持ったキャラクターで、観客が地獄のような戦場に突然放り込まれてしまったように感じられる重要な役割を担っています。
【プライベートライアン】映画の見どころ・重要ポイント!グロいシーンはある?
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見どころ①:映画史に残る壮絶なトラウマ戦闘シーン
一番の見所はやはり冒頭約20分の、オマハ・ビーチでの衝撃的過ぎる戦闘シーンです。
ドキュメンタリーを見ていると錯覚してしまうほどのリアリズムで、戦場の現実を描いています。
銃声や爆音が鳴り響く中、内蔵が飛び出したまま「ママー!」と泣き叫ぶ兵士、自分の片腕を探して歩き回る兵士、火炎放射器で焼き尽くされる兵士など、これまでの戦争映画でも描かれてこなかったほどのリアルな描写です。
かなり生々しくグロい描写なので、トラウマになってしまう人も続出しました…。
見どころ②:スピルバーグ監督の反戦メッセージ
スピルバーグ監督は「プライベートライアン」の他にも、第二次世界大戦を題材にしたドラマ「バンド・オブ・ブラザース」「ザ・パシフィック」「マスターズ・オブ・ザ・エアー」などの製作に関わってきました。
自身が監督した「シンドラーのリスト」や「太陽の帝国」も戦争がテーマになっている名作で、ユダヤ人という立場から徹底して反戦メッセージを世の中に送り続けている監督です。
本作も、戦場を圧倒的な臨場感で描くことや、戦争の矛盾や兵士たちの苦悩を描くことで、平和への願いや想いが力強く込められた作品に仕上がっています。
見どころ③:戦場が舞台の深い人間ドラマ
序盤とラストは激しい戦闘シーンが描かれていますが、中盤はミラー大尉と部下たちの人間ドラマがじっくりと映し出されています。
ミラーの右腕として献身的にサポートし続けたホーバス軍曹、幾度となく仲間を救ってきた神の腕を持つ狙撃手のジャクソン二等兵、ユダヤ人の誇りを胸に最期まで戦い続けたメリッシュ二等兵…。
逃げ遅れた少女を助けようとして犠牲になった愛情深いカパーゾ二等兵。
いつ自分や仲間が殺されるかもわからない極限状態に置かれた隊員一人ひとりの、友情、挫折、苦悩が描かれたドラマに強く胸を打たれました。
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【プライベートライアン】実話を再構築したフィクションである
- 「プライベートライアン」は、ナイランド兄弟の実話を再構築したフィクション
- 第二次世界大戦の「ノルマンディー上陸作戦」がベース
- 映画史に残る伝説の戦闘シーンは、かなり生々しくグロテスクな描写
この記事では映画「プライベートライアン」のあらすじ、元ネタのナイランド兄弟、何の戦争が描かれているのか、アパムの行動やミラー大尉の手の震え等について、解説・考察しました。
本作はアカデミー賞で監督賞を含む5部門を受賞した、スピルバーグ監督渾身の戦場ドラマです。
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