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「千と千尋の神隠し」謎多き考察まとめ!振り返ってはいけない理由と何を伝えたいのか宮崎駿監督の意図を読み取る

千と千尋の神隠し 考察

「千と千尋は裏設定があるの?」
「意味が分からない箇所がある」
「宮崎駿監督が伝えたいことは何?」

謎が多いジブリ映画『千と千尋の神隠し』。興行収入が約316億円を超える超大ヒット作品の中には、数々の裏設定があると言われています。

そこでこの記事では、千と千尋の神隠しの謎と宮崎駿監督が意図したい真の理由について考察していきます!

先に結論!
●ハクと千尋は兄妹の可能性あり
●カオナシは現代人の欲望の象徴
●時代背景はバブル崩壊後の日本
●油屋のモデルは遊郭
●宮崎駿監督が伝えたいのは現代人への熱いエール

目次

「千と千尋の神隠し」基本情報とあらすじ

引用:ジブリ公式サイト
タイトル千と千尋の神隠し
公開日2001年7月20日(金)
原作・脚本・監督宮崎駿
キャスト・声優荻野千尋(千):柊 瑠美
ハク:入野自由
湯婆婆:夏木マリ
荻野明夫 (千尋の父):内藤剛志
荻野悠子 (千尋の母):沢口靖子
カオナシ:中村俊介
リン:玉井夕海
釜爺:菅原文太
坊:神木隆之介
主題歌木村 弓「いつも何度でも」
上映時間125分
関連サイト公式サイトWikipedia
「千と千尋の神隠し」基本情報

千と千尋の神隠しは2001年に公開されてすぐ、全世界で話題となりました。2002年にベルリン国際映画祭 金熊賞、2003年にアカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞しており、現在でも多くのファンに愛されるジブリ名作のひとつとなっています。

まだ幼い少女に襲いかかる悪夢のような出来事に衝撃を受けた方も多いでしょう。大人でも逃げ出したくなる過酷な環境の中、さまざまな想い・生き様をもつ登場キャラクター達と関わり合い、少しずつ確実に成長していく「千尋」が主役の物語です。

「千と千尋の神隠し」あらすじ【ネタバレ】

10歳になった千尋は、仲の良かった友人達と離れ、両親と共に引越し先へ車で向かっていました。途中、父の思いつきから不思議なトンネルをくぐり、一風変わった町へ迷い込んでしまいます。

怖がる千尋をよそに、気楽な両親は食べ物が並ぶ無人の飲食店を見つけて勝手に食事を始めます。千尋が止めると「店員が来たら代金を払えばいい」と母親は言い放ち、何かに取り憑かれたように食べ続けるのです。

引用:ジブリ公式サイト

呆れた千尋はその場を離れ、旅館のような大きな建物「油屋」の前にある橋から電車を見ていました。そこへおかっぱ頭の少年ハクが現れ、強い口調で「すぐに戻れ」と千尋に言います。

ハクから逃げるように千尋は両親を探して飲食店へ戻りますが、そこにいたのは服を着た大きな豚。驚いた千尋は無我夢中に走って逃げ出しますが、来た道はすべて海のようになっており、絶望してしまいます。「これは悪い夢だ」と思っているところへ、再度ハクが現れて千尋を助けます。

ハクは、八百万の神々をもてなす「油屋」という名の湯屋で働くよう千尋に勧めました。油屋の主人・湯婆婆は、相手の名を奪って支配する恐ろしい魔女だが、仕事を持てば魔法をかけられる心配はないと説明します。千尋はなんとか湯婆婆と交渉し、「千尋」の名を奪われる変わりに「千」と名付けられました。

両親を助けるために油屋で働き始めた千は、油屋の者達から意地悪を受け、面倒な客の相手を押しつけられます。千の働きにより、客から大量の砂金が店にもたらされ、千は客から礼として「不思議な団子」を貰います。

同時期、千は招き入れてはいけないカオナシを油屋の中へ入れてしまいます。存在を否定されてきたカオナシは受け入れてくれた千に好意を抱き、砂金を渡して喜ばせようとしますが、千はそれを拒否します。

引用:ジブリ公式サイト

ある日、ハクは湯婆婆の命令で対立している銭婆から魔女の契約印を盗みだしました。しかし契約印にはまじないがかけられており、ハクは瀕死の状態で油屋に帰ってくることに。目撃した千はハクを助けようと後を追い、客からもらった「不思議な団子」の半分を飲み込ませ、ハクを救おうと必死になります。

その頃、客室ではカオナシが従業員を飲み込むなど暴れていました。千と再会したカオナシは、食べ物で千に気に入られようとするが再度拒否されてしまいます。千は苦しそうなカオナシを救おうと思い、「不思議な団子」の残りを食べさせました。

そして千尋は、湯婆婆の息子・坊とカオナシを連れて、湯婆婆の姉・銭婆の家へ向かいます。銭婆は千を家に招き入れました。千は銭婆にハクの件を謝り、銭婆は千に「紫の髪留め」を贈り、カオナシは銭婆を手伝うことになります。

その後目を覚ましたハクは、坊が銭婆の元へ行っている事を湯婆婆に伝え、千を迎えにいきます。千と共に油屋へ帰る途中、千は自分が幼い頃に落ちた「川の神」がハクの正体であると伝え、ハクは本当の名前を思い出すことに。当時、落とした靴を拾おうとして溺れた千尋を、浅瀬に運び助けていたのです。

引用:ジブリ公式サイト

油屋に帰った千とハクは、両親を解放するよう湯婆婆に要求します。悔しい湯婆婆は千に対し、「たくさんの豚の中から両親を言い当てろ」と意地悪な問題を出すも、この中に両親はいないと正解を言い当てられてしまいます。契約書は消滅し、千は千尋の名前を取り戻しました。

現代世界への帰り道、夜は大河だったが草原に戻っていました。ハクは千尋に、「この先には一人で行く」「この先はトンネルを出るまでは振り返ってはいけない」「湯婆婆の弟子を辞めて自分も元の世界に戻るつもり」と伝えます。草原を歩き続けていくと、人間に戻った両親が、トンネルの前で何事もなかったかのように待っていました。

思わず振り返りそうになる中、ハクとの約束を守って必死に我慢する千尋。トンネルを抜けて振り返ると、来た時とは違う見た目に変わっていました。

「千と千尋の神隠し」裏設定?気になる7つの謎を考察

引用:ジブリ公式サイト

「千と千尋の神隠し」裏設定があると考えられています。次の7つの謎について詳しく考察していきます!

※タップすると読みたいところから読めます。

千尋が主役に抜擢された本当の理由

異世界での「千」と現実世界での「千尋」が主役に選ばれた理由は、宮崎駿監督が10歳という年頃の女の子に手強さを感じていたからです。

千尋のモデルは、宮崎駿監督の友人・映画プロデューサー奥田誠治の娘さんと言われています。

友人の娘さんと接する中で、10歳の女の子が秘めているパワーに気づかれたのでしょう。学童期の女の子を題材に映画をつくり、何かしらのメッセージを伝えたいと考え、千と千尋の神隠しを生みだしました。

初期の頃は普通の小学生と同じように気怠い中で両親にしぶしぶ付き合っていた千尋が、映画最終面では自分の意思をハッキリと持って歩く姿を見て、ハッとさせられた大人は多いはずです。

千と千尋の神隠しの時代背景はバブル崩壊後の日本

『千と千尋の神隠し』は、バブル崩壊後の日本を舞台に描かれた作品と言えます。

1990年代初頭、日本はバブル経済の崩壊によって深刻な不況に陥り、多くの企業や個人が大きな経済的困難を抱えました。この時代背景が、映画にさまざまな形で反映されています。

バブル崩壊後を感じる場面
  • 千尋の両親のお金で全てを解決するという偏った考え
  • 若い両親が郊外に一戸建てを購入
  • 高級スーパーの紙袋
  • 礼儀や作法を無視した自分勝手な行動

経済の成長と引き換えに、伝統を無視してきた日本人の醜い姿を描いているのです。

映画のところどころでお金やモノに対する欲が描かれており、「うわぁ…」と引いてしまう場面もあります。もしかしたら、あなたも同じような姿を知らず知らずのうちにしているのかもしれません。

千と千尋の神隠しの異世界は「死後の世界」を描いている

千尋と両親は偶然たどり着いたトンネルを興味本位でくぐり、偶然にも現実世界ではない「異世界」へ迷い込んでしまいます。この世界が、実は死後の世界なのではないかと考察しています。

死後の世界と考える理由は次の通りです。

死後の世界と考える理由
  • 異世界へ行くまでに大きな河がある
  • 死後の世界では名前が戒名に変わる
  • 油屋の客は神様や人間ではない生き物
  • ハクが「決して振り返るな」を念を押している

湯屋までの道は、夜になると大きな河が現れます。これが三途の川をイメージしているのでは?と思うのです。

また仏教では故人に「戒名」という新しい名前をつけます。戒名は生きている時の名前を一部使うのですが、千と千尋の神隠しで湯婆婆が名付けるときと似ていますよね。

戒名とは?
仏教において故人に付けられる名前のこと。極楽浄土を目指し、修行するための仏弟子としてつけられる。

死後の世界に生きているはずの千尋がいたから、ハクはとても驚いたと考えると納得がいきます。

ハクは過去に亡くなった千尋の兄

一部のファンの中では、ハクが実は千尋の兄なのではないかと考察されています。

ハクが千尋の兄だと考えられる理由は3つです。

  • 千尋が溺れたとき男の子の手が助けている
  • ハクは異様に千尋を守ろうとする
  • 母親の千尋に対する無気力な態度

千尋は幼い頃、川で溺れて死にかけています。このときの回想シーンでは、大人の手ではなく男の子の手が千尋を救っています。

また物語の初期からハクはなぜだか千尋をかばい、守ります。初めて二人が会った時のピンと張り詰める空気感もただモノではなかったです。

ほかにも、母親が不快に感じるくらい千尋に冷たい態度をとる点も不可解でした。もしかしたら、千尋の兄は幼い頃に溺れた千尋を助けるために亡くなってしまったのかもしれません。

死後は神様として業をなしていたが、いつしか湯婆婆のもとで働くことになり、本来の自分を忘れてしまったのではないでしょうか。

カオナシは人間の欲望と闇を映し出した存在

カオナシは人間の欲望と心の闇を映し出している存在だと考察します。例えば、以下のカオナシの行動です。

  • そこに居るのに誰にも気づかれない存在
  • 千尋への異常な執着
  • お金で人を支配し、操る
  • 自分の欲求優先で他人への迷惑を考えない

カオナシは確かにそこに存在しているにも関わらず、誰にも気づかれず、触れられていませんでした。まるで、孤独や無個性に無意識に悩まされている現代人のようです。

それでも誰かと関わりたくて毎日のように油屋へ訪れるカオナシの姿は、コミュニケーション能力が乏しくて他者と上手に関われない様子が感じられて、胸が締め付けられます。

そんなカオナシを認識し、招き入れた千尋への異常な執着には恐怖を感じました。コミュニケーションの取り方が分からないからか、砂金や大量の食事で千尋の気を引こうとしますが、「そんなものは要らない」と足蹴にされてブチギレる様はまさに現代人のキレやすい特徴の現れでしょう。

カオナシは人間の醜い欲望と切ない闇を表している、とても気づきの多い存在なのです。

油屋は遊郭がモデルで現代の「ブラック企業」の象徴

油屋のデザインは実在する旅館がもととなっているのですが、基本的なモデルは遊郭で、さらに現代のブラック企業までも象徴していると考察しています。

理由は次の通りです。

  • 油屋の装飾や構造が遊郭の建築に似ている
  • 「油屋」は江戸時代の遊郭の隠語である
  • 過酷な労働条件が遊郭と似ている
  • 権力をふりかざす上司に従うしかない従業員

油屋の内装や建物の構造が遊郭にそっくりだと言われています。お風呂でお客様をおもてなしするという点も近しいものがありますよね。

油屋という名称が江戸時代で遊郭の隠語であったことも分かっています。また華やかに見える遊郭の裏側で、過酷な労働条件に苦しめられている従業員がいることも合致しています。

朝早くから夜遅くまで働き続ける油屋の妖怪たちの姿はまるでブラック企業の社員です。権力で押さえつける上司(湯婆婆)に逆らうことができず、少ない給料で必死に働く姿を見て共感した社会人の皆様はきっと多いでしょう。

ハクの「振り返ってはいけない」は現代人へのエール

物語の終盤、ハクと千尋が別れる際、ハクは「振り返ってはいけないよ」と諭します。この理由は、「過去にとらわれず前を向いて歩き続けてほしい」「異世界に未練を残さないでほしい」「今回の成長で止まらず、これからもどんどんチャレンジしてほしい」という熱いエールだと捉えています。

油屋での過酷な労働の中、逃げることなく真っ向勝負で挑み続けた千尋。はじめは無理だとメソメソ泣いていた千尋が、最後は自分の意思で考え、行動し、両親を取り戻すという目的を自分の力で達成します。

無理だと感じたことでも、周りの力を借りながら自分自身で切り拓けば叶えられるのだと現代人へのエールだと感じました。

「千と千尋の神隠し」で宮崎駿監督が伝えたかったのは『兄弟愛』?

岡田斗司夫さんのYouTubeでは、千と千尋が伝えたかったのは「兄弟愛」ではないかと考察されていました。

千尋が何者か分からない手の主に助けられたり、なぜか必死になって支え合うハクと千の関係や、母親の千尋に対する冷たい態度だったりから判断すると、兄妹を描いているという裏設定はかなり濃厚です。

よって、

死後の世界で再会した兄妹の愛を描いているという線は濃厚でしょう。

しかし、それだけではないと思います。

宮崎駿監督が伝えたかったのは『兄弟愛』と『前を向いて歩くことの大切さ』

兄妹愛のほかにも、「千と千尋の神隠し」を通し、現代世界で生きる人々に対し『前を向いて歩くことの大切さ』を意図していると個人的に感じました。

人生ではたくさんの困難が待ち受けています。幼少期や学童期の子供も成人した大人も皆何かしらの葛藤や苦悩とぶつかるときがくるのです。

下を向いて逃げてばかりでは切り拓けない道でも、諦めずに前を向いて前進していけばいつか必ず道が拓けていくのだと、千と千尋の神隠しを見て感じました。

親や兄弟など家族の強い絆だけでなく、出会った人々の中にも自分をサポートしてくれる人がいるかもしれない。そんな人々を大切にしつつ、甘えてしまうだけにはならず、決断と行動は自分自身でしっかり取り組んでいくことが大切なのだと教えられました。

千と千尋の神隠しは動画配信サービスでは視聴できませんが、実はネットフリックスで見る方法がありますので詳しくは下記記事を確認してくださいね。

まとめ:「千と千尋の神隠し」は現代で悩み生きる人への熱い想いが秘められている

「千と千尋の神隠し」は現代で悩み生きる人への熱い想いが秘められている深い作品です。宮崎監督の思惑通りなのか、作品を見た人たちそれぞれが考察をし、さまざまな形で意図を汲み取っています。

今回紹介した千と千尋の神隠しの考察内容を再掲しておきます。

  • 千と千尋を主役にした理由は「10歳の女児が手強い存在だから」
  • 千と千尋の神隠しの時代背景はバブル崩壊後の日本
  • 千と千尋の神隠しの異世界は「死後の世界」を描いている
  • ハクは過去に亡くなった千尋の兄の可能性がある
  • カオナシは人間の欲望と闇を映し出している
  • 油屋の建築モデルは江戸時代の遊郭
  • 油屋は現代の「ブラック企業」を象徴している
  • ハクの「振り返ってはいけない」は「過去ばかりを気にせず、前を向いて歩いて行ってほしい」というエール
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